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入学金や授業料が免除される奨学生に虚偽の請求書を送り、学費名目で現金をだまし取ったとして、警視庁捜査2課は10日、日本大の重量挙げ部元監督、難波謙二容疑者(63)=東京都狛江市=を詐欺容疑で逮捕した。不正徴収は20年以上にわたるとみられ、警視庁は難波容疑者が少なくとも2015年度からの10年間で、入部予定の奨学生の保護者48人から計約3800万円をだまし取ったとみている。
逮捕容疑は22年12月上旬ごろ、翌年春に入部予定のスポーツ奨学生の保護者4人に、免除される入学金や授業料を入金するよう求める虚偽の請求書を送付し、計205万円をだまし取ったとしている。
難波容疑者は「寄付金として保護者の了解を取り付けてもらったお金という認識。私的に使用した寄付金は一切ない」と容疑を否認しているという。
スポーツ奨学生は推薦入学の一種で、例年9月ごろ競技部から提出される名簿を基に学内で選考され、面接や論文試験を経て12月上旬に合格が決まる。免除される費目により1〜4種があり、学費の全額か一部が免除される。
警視庁によると、日大では、競技部が学生から学費を受け取り、学部に振り込む「代理受領」という制度があり、難波容疑者はこれを悪用していたとみられる。
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難波容疑者はコーチに指示して、学部からの正規の振り込み依頼書を差し替え、部で作成した虚偽の請求書を奨学生側に送付していたという。請求書には「奨学生として申請しており、2年次以降は徴収されない」などと記載して1年目の学費が必要と誤認させ、部指定の銀行口座に振り込ませていたとされる。
コーチによって学部に正規の額が支払われた後、難波容疑者が残りの現金を受け取り、自身が教授を務める生物資源科学部の研究室のキャビネット内で保管。詐取した現金の多くは難波容疑者が私的に使ったとみられる。コーチが現金を受け取った形跡は確認されていない。
日大は24年7月、一連の不正を公表し、教授だった難波容疑者を懲戒解雇処分とし、監督も解任。同12月に難波容疑者が05年度以降、少なくとも58人から計約5300万円を不正徴収したとする調査結果を明らかにし、難波容疑者を刑事告発していた。
日大は「このような不正行為で社会的信頼を失墜させたことは痛恨の極み。社会に対し深くおわびするとともに、厳正に責任追及を行い、捜査機関に全面的に協力する」とコメントした。【山本康介、長屋美乃里】
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