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最高裁が27日、生活保護費の引き下げを違法とする初の統一判断を示したことで、継続中の静岡県内訴訟も原告勝訴の方向で終息していく見通しとなった。
県内では2015年7月以降、生活保護受給者9人(当時)が静岡、浜松、掛川、袋井の4市に減額決定の取り消しを求める裁判を起こした。静岡地裁は23年5月、「デフレ調整」は「専門的知見との整合性がない」などと指摘し、生活保護法に反するとして受給者6人の減額決定を取り消す判決を言い渡した。その後、4市は東京高裁に控訴し、現在も争っている。
最高裁の判決を受けて、原告の西真緒さん=袋井市=は「引き下げられたときは本当に悔しかったが、皆さんと会えて訴訟ができた。本当によかった」と涙ぐみながら支援者に感謝した。
阿部浩基弁護士は「今後は減額分をどこまで回復させるか、国との政治的交渉が残っている。最終的に成果を勝ち取るまで頑張らなければいけない」と気を引き締めた。
原告の山本定男さん(80)=浜松市=は、減額で食事や入浴を控えてきたが生活が困窮し、訴訟に踏み切った。70歳の頃に比べて今の受給額は約7000円少ないという。「最近の物価高で生活は苦しい。まともに3食は厳しく、食費を減らすしかない」と実情を語った。
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被告側の4市は毎日新聞の取材に対し、いずれも国の動向を注視して今後の訴訟対応方針を決める考えを示した。静岡市の担当者は「司法の最終判断を重く受け止めている。判決を踏まえ、今後の訴訟の対応を検討する」とした。
静岡弁護団長の大橋昭夫弁護士は今後、民事訴訟とは別に、4市に対して生活保護行政の新しい方針を示すよう申し入れる考えを明らかにした。「本当の意味でこの問題を解決できるよう、県も含め担当者には判決の趣旨を学び、良い行政をしてほしい」と話した。【藤渕志保】
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