
猫好きなら共感できる「猫あるある」が散りばめられたすごろく形式のボードゲーム「にゃん生すごろく」。プレイヤーは子猫となって成長と思い出を重ねる。やがて訪れる終盤は寂しくてちょっぴり泣ける、でも最後はほっこり優しい気持ちになるストーリーに癒される。
生まれたての子猫になってゲームをスタート
猫の一生を、ゲームの世界でたどる「にゃん生すごろく」は、プレイし終えたとき、きっと誰もが優しい気持ちになれる、猫好きのための新しいボードゲームだ。
製作したクリエイター集団「ひなたぼっこズ」の山本ケンタさんに、ゲームのストーリーを聞いた。
「スタートは、生まれたての子猫です。僕らが猫になってご主人と一緒に歩んでいく物語なので、ご主人のコマも一緒に進んでいきます」
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コマは猫の姿になっていて、正面と背面が描き分けられている。10種のパターンがあって、4種ずつ異なる組み合わせで3セットと、10種揃ったセットが用意されている。
サイコロを振って、出た目の数だけマスを進めていくルールは従来のすごろくと同じだが、すべてのマスに必ず何らかの物語が設定されている。たとえば「新しいおうちに慣れなくて怖いよう」というマスでは、ご主人も一緒に進む。マスごとに物語を進めていくと、そのマスに対応した「ハート」がもらえる。
マスが進んでいくと、子猫は少し成長してやんちゃ盛りになり、ときにはご主人のもとを抜け出して冒険に出かける。危ない目に遭ってご主人に助けてもらったり、商店街へ出かけて行って魚屋のおじさんから魚をもらったり、様々な経験をすると「アイテムカード」をもらう。このアイテムカードは、ゲームの終盤に迎える大事な意味をもっている。
さらにシニア猫に成長すると、ご主人も年を取っているため動きが鈍くなる。それを表現するため、サイコロの目より少ないマスしか進めなくなる。たとえば「6」の目が出ても3マスしか進めないというルールだ。
やがて新しい経験をするよりも、思い出が多くなるといよいよ晩年だ。冒険をしたときにもらったアイテムカードをひっくり返してみると、「猫缶を初めて食べたときはおいしかったにゃ」とか「初めてのプレゼントはダンボールだった」という思い出に変わって、ハートの数字が増える。
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「そんな幸せなときを過ごしながら、病院に行かないといけなかったり退院したりというふうに思い出を過ごして、なんだか眠いなあっとなって、これ以上ご主人が一緒に進めないマスまで来たらご主人はストップです」
ご主人と別れたあと「ミルク美味しかったよ」「お散歩楽しかったよ」「夢でお母さんに会ったよ」などの思い出を胸に抱きながら、ご主人とのお別れが近づいて来る。アイテムカードを全て思い出カードに変えて、最後は1人で虹の橋を渡ってゴールとなる。
プレイ時間は30分程度。
「カードのハート数が多いほうがナンバーワンとなるのですが、勝敗をつけることが目的ではありません。最後は、幸せをかみしめましょうという狙いがあります」
このようなストーリーをつくるにあたっては、没入感があって、ご主人と離れるときは本当に寂しくなり、思い出に変わったときの可愛い瞬間の心の動きと物語、そしてゲームのプレイ感をチューニングしていく作業が最も苦心したという。
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ゲーム機全盛の時代にあって敢えてボードゲームの形をとったのも、デジタルがどれだけ発展しても人とのつながりや大切な家族とのつながりを大切にして「今日」という時間を楽しんでもらえるコンテンツをつくりたかったとのこと。
作品内の猫の行動や演出はフィクションだが、猫が好きな人にはもちろん、近頃ちょっと泣いていないという方、生きることやお別れすることをお子さまに優しく学んでほしいパパ&ママにお勧めだという。
発案からちょうど1年。資金を募るクラウドファンディングは、目標額に対して266%の支援を集め、大成功で終了した。
6月21日からはオンラインショップでの販売を開始したほか、近日中には店舗販売も計画しているそうだ。
なにかと世知辛い日々を過ごす中、一時でも子猫になった気分でゲームの世界に没入する時間を過ごしてみてはいかがだろう。
(まいどなニュース特約・平藤 清刀)