
参政党の神谷宗幣代表が編集した「参政党Q&Aブック 基礎編」(青林堂)に「そもそも発達障害など存在しません」と発達障害の存在を否定していることが波紋を広げている。発達障害の各団体から「まったく間違っています」「 発達障害は、医学的にも議員立法でも定められた障害」「根拠のない主張で私たち当事者や家族を苦しめないでください」と批判の声が上がっている。
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発達障害を否定する「参政党Q&Aブック 基礎編」は2022年に出版された。書籍の通販サイトでは内容について「彼らの勢いが止まらない! !」「参政党ってどんな政党?」「教育・食と健康・国まもりについてどう考えているの?」「党の主張をQ&Aにてわかりやすくまとめました」と紹介されている。
問題となっているのは「発達障害を持つと判断された子供たちに対して、どのような教育を行なうべきでしょうか?」という問いに対して、「通常の子供たちと全く同じ教育を行なえば問題ありません。そもそも、発達障害など存在しません」と回答している箇所だ。
発達障害当事者協会はX(旧Twitter)で「参政党の『発達障害など存在しません』発言により不安を覚えた当事者から当会にもメール等が届いております。 断じて許す事は出来ません」と参政党の考え方を批判し、「みなさん選挙はよく政策を見て投票してください」「 発達障害は、医学的にも議員立法でも定められた障害です」と発達障害が医学的に認められた脳機能障害であることを訴えた。
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一般社団法人日本自閉症協会も「ある政党が『そもそも発達障害など存在しない』と公言していますが、これはまったく間違っています」「 WHOや米国精神医学会には診断基準があり、日本には超党派の議員立法により成立した発達障害支援法があります。」「発達障害などないという根拠のない主張で私たち当事者や家族を苦しめないでください」と当事者や家族が抱える問題を否定するような言動を批判した。
批判の声に対し、参政党前代表の松田学氏が「私が2年ほど前に街頭演説で精神疾患や発達障害の存在を否定するかのような発言をしたことにつきましてご批判をいただいておりますが、これは、当時、ある論者が発言していた内容を紹介する発言でした」「しかし、十分なエビデンスがなく、その内容自体についての妥当性が検証できないことから、私としては、そのような発言はやめております」「現在、その説を拡散するようなことはしてはおりません。関係者にご迷惑をおかけしたことをお詫びします」と説明した。
松田学氏の説明に対し、発達障害当事者協会はXで「これはウソです」「参政党の書籍に書かれています」と松田氏の「ある論者が発言していた内容を紹介する発言でした」という弁明をさらに批判し、「松田氏の発言で傷ついた当事者が多数います」「絶対に支持してはいけません」「発達障害の当事者団体として許すことの出来ない事案です」と指摘した。
また、参政党の神谷代表は7月14日、「暴露します^_^」とXで切り出し、「1冊目の「Q&A」の本は、神谷、吉野、松田が中心に原稿の叩きを書いて、あとは出版社がまとめて『あの勢力』などの表現が加わり、1ヶ月の突貫作業で出版しました」「内容にも誤りがあったので絶版としました」「2冊目の『ドリル』は基本的に私が書いて、専門分野は政策チームの党員さんらにベースを書いてもらい、私が直しました」「 世界観は変わっていないですが、中身はだいぶ違うと思います。読み比べて見て下さい」と説明した。
日本発達障害ネットワークは声明を出し、「ある政党の出版物に『そもそも発達障害は存在しない』といった誤った記載が現在でもあり、日本発達障害ネットワークの会員一同としては非常に遺憾に感じているところです」「発達障害者支援法は 2016 年に超党派による議員立法で成立した法律であり、施行後 20 年を経て様々な形で発達障害児者とその保護者の方々に適切な支援が届くようになりました」「また、アジアの国からも日本の発達障害者支援の取り組みは高く評価されているところです」と日本の発達障害者支援が世界的に評価されていることを挙げ、「私たち日本発達障害ネットワークは、今後も発達障害児者とその保護者の方々が、どこで暮らしていても、必要としている理解や配慮が享受できるように活動をしていきたいと考えています」「そして、”全ての方の命を尊重し、障害の有無によって分け隔てられることのない共生社会”を皆様と共に実現していきたいと思いますので、引き続きご理解とご協力をよろしくお願いいたします」と発達障害への理解を求めた。
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