限定公開( 5 )
外国人に不法就労をさせた場合、過失がなくても強制的な国外退去(退去強制)の対象とする入管法の解釈が妥当かどうかが争われた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は24日、「妥当」との判断を示した。その上で、入管による不法就労助長の認定取り消しを求めた外国人女性側の請求を棄却した1審・東京地裁判決(2025年3月)を支持し、女性側の控訴を棄却した。
判決によると、女性は20年2月、アジア圏から「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で来日。関西の人材派遣会社で契約社員として働き、派遣登録を希望する外国人の面接も任せられた。21年5月に女性が面接し、会社が採用したベトナム人が、実際は技能実習先から行方不明になり、就労資格がない人物だったことが大阪府警の捜査で判明した。
府警は会社側を入管法の不法就労助長容疑で捜査したものの、女性は不起訴処分となった。その後、入管の調査が始まり、女性は23年10月に不法就労を助長したとして退去強制の対象と認定された。
刑事罰としての不法就労助長罪は「故意や過失が必要」と規定しているのに対し、行政処分の退去強制にはこうした規定がなく、訴訟では故意や過失がない不法就労助長も退去強制の対象となる法解釈の是非が争点となった。
女性側は退去強制が制裁的な処分で不利益が大きく、国の解釈は不当だと主張した。
|
|
しかし、高裁判決は1審同様に制度の目的などから「過失不要」とする国の主張を全面的に支持。入管法の規定の文言からすれば、過失がなくても退去強制の理由となる不法就労助長は成立すると判断した。
また、女性の過失の有無も検討。女性は新型コロナウイルス下だったことを理由に面接でベトナム人のマスクを外させて本人確認をしていなかったが、判決は「マスクを外させていればなりすましを認識できた」とし、過失と認定した。【安元久美子】
|
|
|
|
Copyright(C) 2025 THE MAINICHI NEWSPAPERS. 記事・写真の無断転載を禁じます。
掲載情報の著作権は提供元企業に帰属します。