元看護助手の国賠訴訟で、控訴しない意向を記者会見で表明する滋賀県警の池内久晃本部長=25日午後、大津市 滋賀県東近江市(旧湖東町)の湖東記念病院で2003年に死亡した男性患者に対する殺人罪で服役後、再審無罪となった元看護助手西山美香さん(45)が国と県に賠償を求めた訴訟で、県側は25日、警察の捜査の違法性を認めた大津地裁判決について、控訴しない方針を明らかにした。西山さん側も同日、県との訴訟は終わらせる方針を表明。約3100万円の賠償命令が確定する。
記者会見した県警の池内久晃本部長は「西山さんに対し、大きな心労や負担をおかけしたことを大変申し訳なく思っている」と話した上で、再発防止に向け「緻密かつ適正な捜査に取り組んでいく」と述べた。
古川博文首席監察官は、西山さんへの直接的な謝罪について、「今後適切に対応していきたい」と語った。
西山さんの弁護団は声明を出し、池内本部長の会見について「(捜査の違法性を)認めたのかどうか判然としない」と指摘。西山さんへの直接の謝罪とともに、捜査の検証と再発防止策をまとめるよう求めた。一方、請求が退けられた国に対しては、控訴を検討しているとした。
大津地裁は17日、県警の取り調べを「社会通念上相当と認められる範囲を超える」として違法性を認定。一方、検察官の起訴については「相応の合理性がある」として、国への請求は退けた。