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滋賀県東近江市の湖東記念病院の入院患者死亡を巡り、殺人罪で服役後に再審無罪となった元看護助手の西山美香さん(45)=同県彦根市=が、違法な捜査があったとして県と国に計約5500万円の賠償を求めた訴訟で、県側は25日、警察の捜査の違法性を認めて県側に約3100万円の支払いを命じた大津地裁判決を受け入れ、控訴しないと明らかにした。
西山さん側も控訴しない方針で、県側の賠償責任は確定する見通し。一方で、西山さん側は地裁判決が国側の責任を認めなかったことを不服として、控訴するという。
記者会見した県警の池内久晃本部長は「判決内容を重く受け止め、原告のご心労やご負担に思いを致し、控訴しないこととした。西山さんには大変申し訳なく思っている」と謝罪した。
三日月大造知事も取材に応じ、「違法性を認めるということだ。西山さんの気持ちに寄り添った対応をしていく」と述べた。
17日の地裁判決は、西山さんの供述が県警の捜査が進むにつれて具体化したことを指摘し「不当な誘導をして虚偽自白させた」と認めた。また、入院患者がたん詰まりで死亡した可能性もあるとする捜査資料が大津地検に送られていなかったことについても「虚偽自白がない状態で、捜査資料が検察庁に送られていれば西山さんは起訴されなかった」として違法性を認定していた。
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県の控訴見送りを受け、西山さんの弁護団は「西山さんに直接謝罪するとともに、捜査を検証し、再発防止策を立てるべきだ」との声明を発表した。
西山さんは事件で懲役12年の実刑が確定したが、大阪高裁が2017年に再審開始を決定し、大津地裁が20年に再審無罪を言い渡していた。【礒野健一、菊池真由】
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