世界中で物議のクレカ表現規制にマンガ家も懸念、Steamの一件で急浮上した団体とは?

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2025年07月27日 12:30  ITmedia NEWS

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 先日、PCゲームの販売プラットフォームであるSteamでアダルト作品の一部が販売停止となりました。いわゆる“クレカ表現規制”の一環ですが、ここにある非営利団体の名前が浮上。しかも、この団体の過去の活動について報じた海外メディアの記事が削除されるという、きな臭い事案も起きています。


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 Steamを運営する米Valveは、7月16日までに決済代行業者などが定める基準に抵触する可能性のあるコンテンツを「公開すべきではないもの」に加え、多数の成人向けゲームをストアから削除しました。


 これに関わったのが、オーストラリアを拠点に活動するCollective Shoutという非営利団体。彼らは直前にクレジットカード会社や決済代行業者に対してSteamなどに圧力を加えるよう要請する公開書簡を送っており、ゲーム削除後には幹部がSNSで“勝利宣言”をしました。


 itch.io(イッチ・ドット・アイオー)という、インディーゲーム中心の配信プラットフォームが事情を明かしています。以前、「No Mercy」という過激な内容のアダルトゲームが配信停止になったのですが、その際Collective Shoutは、Steamとitch.ioに対し販売中止キャンペーンを展開し、決済業者にも圧力を掛けていたようです。


 過激な成人向けゲームの販売を中止させたということで、ここまでなら世間の理解は得られやすいでしょう。ただし、Collective Shoutが排除したいコンテンツは“より広範だ”と指摘したメディア記事が削除されるという、気になる事件がありました。


 記事では、同団体が過去に「Detroit: Become Human(デトロイト ビカムヒューマン)」を叩いていたことを指摘していました。記事を書いたAna Valensさんは後日Xで、記事削除は運営会社の判断だったと明かし、Collective Shoutはポルノ規制を足がかりに今後、女性や子どもが暴力を受けるシーンがあるゲームを幅広く販売禁止にしようとしているのではないか? と疑問を投げかけています。


 デトロイト ビカムヒューマンといえば、全世界で1100万本を売り上げ、日本ゲーム大賞の優秀賞も受賞している名作。それをストーリーや制作者の意図など関係なく、単に虐待の描写があるというだけで排除しようとするのは、「ハリー・ポッターへのダーズリー家による虐待描写のために最初の映画シリーズを禁止するようなものです」と指摘していました。


 No Mercyに関しては、内容を調べた限り批判を受けても仕方ない内容ではあるとボクも思います。でもポルノ作品の排除が、別の目的のための“前例”や“足がかり”を作るためだったとしたら? クレカ表現規制が、そうした目的の手段として使われているとしたら? かなり怖いことではないでしょうか。


●著者紹介:サダタロー


1998年にテレビ番組「トロイの木馬」出演をきっかけに漫画家デビュー。代表作は「ハダカ侍」(講談社、全6巻)、「ルパンチック」(双葉社、1巻)、「コミックくまモン」(朝日新聞出版、既刊7冊)など。現在、熊本日日新聞他で4コマ漫画「くまモン」を連載中。Pixivはsadataro、Twitterは@sadafrecce。


●連載:サダタローのゆるっと漫画劇場


漫画家のサダタローさんが、世界初の電脳編集者「リモたん」と一緒に話題のアレコレについてゆる〜く語るまんが連載。たぶん週末に掲載します。連載一覧はこちら。過去の連載はこちらからどうぞ。



このニュースに関するつぶやき

  • これ今のうちに潰しておく必要があるよね。今はゲームだけだけれど、この手の奴らは漫画・アニメ・小説…と際限なく自分達の思想を押し付けてくる。
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