明治の食品ロス削減を目指した直営店「明治ザ・ステナイファクトリー」(同社提供) 食品ロスを削減しようと、外食やメーカー、小売りが新たな切り口で対策を講じている。飲食店の食べ残しを電力に変えたり、店頭で売れる期間が過ぎた商品をメーカーが自前で販売したりと、無駄を減らす取り組みが多様化している。
回転ずし店「スシロー」を運営するあきんどスシローなど外食大手6社は、食べ残しや調理で出た端材を活用し、メタンガスを発生させて発電用の燃料にする取り組みを始めた。発電や電力供給を担うのはJFEエンジニアリングで、スシローや「ロイヤルホスト」のロイヤルホールディングス、「ミスタードーナツ」のダスキンなどの参加企業は割安価格で電力を買い取れる。
賞味期限が近づいたヨーグルトなど乳製品を中心に販売する直営店を設けたのは明治。「明治ザ・ステナイファクトリー」を昨年末、さいたま市内に開設した。同社は「まだ食べられる商品を『捨てない』との思いを込めた店名にした」と話す。
小売りや食品の業界には「3分の1ルール」と呼ばれる商慣習があり、例えば製造日から賞味期限までの期間が3週間なら、3分の1に当たる1週間以内に小売業者へ納品しなければならない。期限を過ぎた商品は廃棄対象になるため、食品ロスが増える原因と指摘されてきた。明治の直営店では、納品の期限を過ぎてしまった商品を希望小売価格の4割引き程度で販売。賞味期限当日まで店頭に置く。営業は今年4月までの予定だったが、好評のため7月も継続中だ。
ローソンは長期間販売できる冷凍のおにぎりやパンに力を入れており、今月15日から取扱店舗を増やした。賞味期間はおにぎりが約1年、パンは約200日と長く、食品ロス削減に効果を上げているという。昨年7月には、通常のおにぎりの一部商品も衛生管理の徹底などにより消費期限を6時間延ばした。

JFEエンジニアリング子会社の食品廃棄物を発酵させてできたメタンガスを貯蔵するタンク(JFEエンジニアリング提供)