「体制形骸化、組織的問題あった」=本部と署の連携、初動対応に不備―川崎遺体事件で検証結果・神奈川県警

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2025年09月04日 11:31  時事通信社

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検証結果を受け、記者会見で謝罪する神奈川県警の和田薫本部長=4日午前、横浜市
 川崎市でアルバイト岡崎彩咲陽さん=当時(20)=の遺体が元交際相手の自宅から見つかった事件で、神奈川県警は4日、県警の捜査や対応の問題点について検証報告書を公表した。岡崎さん側からの相談に、ストーカー事案として適切な初動対応ができなかったと認め、「対処体制が形骸化し、組織的問題があった」と総括した。

 公表に合わせ、県警の和田薫本部長は記者会見し、「女性が殺害されるという重大な結果が発生したことを重く受け止め、不適切な対応を深くおわびする」と述べた。

 岡崎さんと家族は昨年6月以降、白井秀征被告(28)=殺人罪などで起訴=からの暴力や付きまとい行為をたびたび川崎臨港署に相談。一時沈静化し、同12月に被害が再開したものの、申告を受けた同署はストーカー事案として対処せず、同月20日ごろ岡崎さんは行方不明になった。県警が同被告宅で遺体を発見したのは今年4月で、家族が捜査や対応の不備を訴えていた。

 報告書は、岡崎さんが行方不明となる前の県警の対応について、本部と署の連携や情報共有が不十分で、昨年11月に被害が沈静化したという判断も署単独で行われたと指摘。収束したとの先入観や署員の知識不足が、同12月の再相談をストーカー事案と扱わない不適切な対応につながったとし、「組織的な初動対応がされていれば、警告・禁止命令や被害者の安全確保措置ができた可能性があった」とした。

 人身安全事案について、警察庁は生活安全部門と刑事部門が連携し、警察本部が確実に関与するよう通達。しかし、県警の規定は殺人や行方不明事案を担う捜査1課の参加が明文化されないなど本部の役割が不明確で、署に対する継続的な指導・助言は行われていなかった。署の体制も形骸化し、連携や署長の指揮が機能していなかった。

 岡崎さんが行方不明となった後も、署の体制不備や本部との連携不足は解消されず、捜査1課の主体的関与や同課への参加要請もなかった。家族からの情報提供や要望も生かされず、報告書は「危険性や切迫性の評価を見直し、捜査のレベルを上げる機会を逸し続けた。(白井被告が付きまとい行為の一部を認めた)12月26日には強制捜査を見据えた捜査を開始すべきだった」と断じた。

 今後の対策としては、関係部署を統括する司令塔役の設置や、捜査1課の役割を明確化することなどを挙げた。情報集約の流れも見直し、捜査員の教育も徹底するとした。 

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  • 「別れた→戻った→別れた→戻った」を繰り返したら「形骸化」はするよねwww警察可哀そう。
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