<日本ハム12−5西武>◇15日◇エスコンフィールド
日本ハム万波の3ランが左翼席へ突き刺さり、日本ハムの9点リードとなった瞬間、迷いなくスッと立ち上がる人がいた。
三塁側上段の西武ファン応援席の片隅にいた男性だ。家族だろうかファン仲間だろうか。続くように3人が立ち上がり、4人で応援席を後にした。皆、手荷物を持ったように見えた。
大敗で逆転でのCS出場がまた遠のいた。一方、こんな側面もある。
西武ファンの多くが首都圏から応援にやって来た。秋の3連休。札幌市内での大型催事も多く、往復の飛行機を予約するのも大変な4連戦だった。札幌周辺のホテルも通常よりかなり高値の設定で、それでも空室が極めて少なかった。
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そんな中での4連戦。前節のビジター楽天戦を終えた仙台から、飛行機や鉄道やフェリーで北海道入りできたファンはまだいい。
羽田空港が豪雨に見舞われ、12日の初戦を観戦できないファンがいたと聞く。いくつもの交通手段を急きょ乗り継いで、なんとか北海道入りしたファンもいたと聞く。
ビジター観戦は観光も兼ねられるとはいえ、メインは応援だ。かなりの費用をかけて応援に出向く。それだけ好きなチームへの熱量が「本気」ということだ。
野球は相手があるスポーツ。負けることもあるし、西武の選手層がまだ厚くないことはファンも十分に分かっている。
それでも「せめて勝利への執念を見たい」と願うファンは、聞いている限り少なくない。この日は最終回、西川愛也外野手(26)が2ランを放った。
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節目の10号だ。外野手が固定しなかったチームにとって、喜ばしいことではある。西口文也監督(52)も「みんながあきらめずに最後まで(大きな)点差の中でも戦えていること」とファイティングポーズを評価する。
その一方で、ファンがチームの本気度を確かめるのは、決して試合開始からゲームセットまでとは限らない。球場に着いた瞬間からその目で、またはファインダー越しに、練習を凝視するファンも多い。
誰がどんな表情でいるか。誰が捕球ミスをして、そのあとどんなリアクションをしたか。誰と誰が話し、その様子に周りの人はどんな視線を送っているか−。驚くほど見て感じているファンもいる。
優勝争いをできていない状況でもある。応援する理由の1つを「自分たちと同じようにチームも本気でいてくれているか」と話すファンもいる。
常に100%真剣かつ全力でいる必要はなく、笑顔もまたファンが欲するものではある。
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一方で、第三者から「?」と思われるようなシーンがゼロでないのも事実。ささいと思われることを機にファンになる人もいれば、長年の応援から距離を置く人もいる。
残り16戦で何を示せるか、どう“見られる”か。一矢報いた西川は、近未来のリーダー候補の1人に期待される。「変わらずに走攻守で攻めて、そういう姿を見せれば後ろもつながっていくと思うので、気を抜かずに最後までやりたいと思います」とファイトを口にした。【金子真仁】
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