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その時間、わずか7分――。高級国産車が短時間で持ち去られる盗難被害が、神奈川県内で急増している。海外で日本車が人気なことや、車を解錠する特殊機器が流通していることなどが要因とみられ、県警は「持ち去られないような『時間稼ぎ』に工夫を」と注意を促している。
県警や警視庁の合同捜査本部は2日、千葉県内でトヨタの高級車「アルファード」を盗んだとして、住所不定の無職、本間友希被告(47)=窃盗罪で起訴=ら2人を窃盗容疑で逮捕したと発表した。逮捕容疑は、共謀して6月10日未明、千葉県流山市のアルファード1台を窃取したとしている。本間被告は容疑を認めているという。
県警捜査3課によると、2人は横浜市内で集合し、前もって目を付けていたアルファードが止まる駐車場へ移動した。車の制御システムに侵入できる特殊機器「CANインベーダー」を使ってドアを解錠し、エンジンを始動。さらに工具でハンドルロックを切断し、車を運転して走り去ったという。
周囲の防犯カメラには、一連の「作業」を7分で終える様子が映っていた。ナンバープレートには別の数字を上から貼り付け、盗難車と分からないよう工作していたという。県警は首都圏で盗難を繰り返すグループの一員とみて追及している。
同課によると、県内の自動車盗の認知件数は22年は276件だったが、23年は461件に急増。25年は1〜9月で583件に上り、すでに24年の1年分(536件)を超えている。狙われている車種はトヨタ車のアルファード、ランドクルーザー、レクサスなど。いずれも国内外で人気がある高級車で、転売で収益を得やすいことが特徴だ。
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CANインベーダーは本来、正規の鍵業者がキー閉じ込めへの対応などで使っていたが、窃盗グループの入手が可能になり被害が増えているという。
同課の担当者は、防犯用のブザーやカメラの設置に加え、シャッター付きの車庫を設けるなど「窃盗に時間がかかる状況を作ることが有効だ」と指摘。防犯対策を充実させるよう呼びかけている。【清水夏妃】
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