
フランスのルーブル美術館に強盗が入り、ナポレオンの宝飾品やネックレスなど9点が盗まれました。犯行グループは現場に電動カッターやトランシーバーを残したまま、現在も逃走中だということです。
ルーブル美術館に強盗 わずか7分で人々は列を作り、開館を楽しみにしていました。そこへ看板を手にした職員。看板には、こう記されていました。
看板
「ルーブル美術館は本日“特別な事情”により閉館します」
コロンビア人観光客
「1か月以上前にチケットを買ったのに、本当に残念」
アメリカ人観光客
「閉館は、今朝みんなが並んだ後じゃなくて、昨夜発表すべきだったと思う。でも仕方ないね」
“特別な事情”とは、前の日に起こった出来事でした。
職員に促され、建物の外に出る人たち。狙われたのはフランスが誇る「ルーブル美術館」でした。
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パリの中心部に位置し、凱旋門やエッフェル塔に並ぶ、世界屈指の観光地。モナリザやミロのヴィーナスなどが展示されていて、去年の来館者数は870万人に上ります。
日本人観光客
「調べたら窃盗があったって、いま知った。びっくり。単純にびっくりした」
フランス人観光客
「絶対に安全だと思っていた場所なのに、いまどき強盗が入るなんて怖いです」
犯行があったのは19日午前9時半ごろ、開館直後のことでした。
記者
「犯人はあちらにある工事用のはしごを使って、ルーブル美術館に侵入したとみられています」
犯行グループは覆面の4人。そのうち2人がセーヌ川に面したこちらの2階の窓から侵入。貨物用のリフトを使ったとみられます。
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犯行には電動カッターが使われたとみられていて、窓の一部が切り取られたのが確認できます。
犯行はわずか7分の間に行われたということです。この時、美術館はすでに開館していましたが、けが人は出ていません。
ナポレオンの宝石など9点が被害犯人たちが押し入った2階にあったのは「アポロン・ギャラリー」。豪華な装飾の部屋には、皇帝ナポレオンが集めた宝石などが展示されていました。
盗まれたのは、ティアラやネックレス、王冠、ブローチなど9点。このうち王冠は、美術館の付近で損傷した状態で見つかったということです。
犯人たちは犯行後、スクーターで逃走したとみられています。犯行現場には、電動カッターのほか、バーナーやトランシーバー、毛布などが残されていたということです。
また、美術館の近くでは、犯人が着ていたとみられる黄色いベストが見つかったそうです。
犯行当時、現場近くにいた人は…
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当時現場近くにいた人
「警備の人たちが“ここから離れて!早く、走って!”と叫んでいました。ただならぬ様子だとは感じました」
今回の事件をめぐっては、警備態勢の不備も指摘されています。
ルーブル美術館では今年6月、警備員や職員などの「人手不足」に抗議するため、従業員がストライキを行っていました。
ルーブル美術館の従業員
「何か月も前から警備員ら全員が、日々、直面している問題や欠陥について警告していました。しかし経営陣はこれらの警告をまったく聞き入れず、こんにち、私たちが恐れていたこと、すなわち略奪と破壊が現実のものとなってしまいました」
マクロン大統領は事件に対しSNSで、「私たちの大切な遺産に対する攻撃だ。犯人を裁きにかける」と強く非難しています。