
11月3日、文化の日は全国180以上の美術館や博物館が「無料開放」に!中でも専門誌の編集長オススメのミュージアムとは?
【写真を見る】11月3日は“無料”で「ミュージアム」!全国180以上の美術館&博物館が無料開放【THE TIME,】
「背中まで見られる」金剛力士立像「日本あるいはアジアの歴史が、かなり多くの“国宝・重要文化財”を含む作品資料でわかる。日本で一番歴史のある博物館」
1948年創刊の美術専門誌『美術手帖』のweb版編集長・橋爪勇介さんがまずオススメするのは、東京・上野にある『東京国立博物館』。
所蔵している国宝は89件、重要文化財は653件です。(※2025年4月時点)
例えば、飛鳥時代・7世紀の水差し「竜首水瓶」(国宝)。
高さ50cmほど、長い首と下にふくらむ胴に把手を取り付けた形で、注ぎ口はいかめしい竜の頭のデザイン。
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THE TIME,マーケティング部 横山ルリカ部員:
「よく見ると、ペガサスが描いてある」
胴部に細い線を刻んで描かれているのは、向かい合う2組のペガサス4頭。
「中国の竜」と、「西洋のペガサス」を組み合わせたもので、当時の東西交流を象徴する国宝です。
本館エントランスで出迎えてくれるのは…
横山部員:
「すごい!立派な大階段。圧巻です」
ドラマの撮影でも使われる“博物館の顔”。
大階段は大理石でできていて、本館自体が重要文化財の建造物となっています。
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大階段横の部屋にある“目玉展示”が、平安時代・12世紀に作られた2体1対の「金剛力士立像」。
高さ約3m。圧巻の姿を間近で、しかもお寺ではなかなか見ることができない裏側にも回れます。
横山部員:
「背中はちょっとたぷっとしている。正面から見た時の筋骨隆々さと、裏側の滑らかな曲線。結構ギャップがある」
『東京国立博物館』研究員・増田政史さん:
「“柔らかさ”が平安時代の仏像の特徴」
文化の日なら、常設展の入館料1000円が無料です。
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『国立西洋美術館』(東京・上野)でも、文化の日は常設展(松方コレクション)の入館料500円が無料に。
『web美術手帖』橋爪勇介編集長:
「常設展には“世界を代表する西洋美術の名画”がズラリと揃っている。無料で見られるわけだから、これを見逃す手はない」
世界的建築家、ル・コルビュジエが設計した美術館自体も世界文化遺産。
そして編集長のオススメは…
橋爪編集長:
「“前庭”。割と最近リニューアルしたばかりのスペースで、ル・コルビュジエが作った当時の姿に可能なかぎり戻した。ロダンの地獄の門も展示されている」
オーギュスト・ロダンの作品「地獄の門」。
イタリアの詩人・ダンテの「神曲」をテーマにしたブロンズ像で、高さ5メートルを超える門を飾る浮き彫りには、200体を超える人物像を見いだすことができます。
上の方をよく見ると…あの「考える人」が!
実は元々「地獄の門」の一部。そこから独立してひとつの作品になったのです。
近くに、単体の「考える人(拡大作)」のブロンズ像もあるので、2つを見比べることもできます。
「入る前から楽しい」“海の美術館”「美術館に行くまでの道も楽しい」(橋爪編集長)とオススメなのは、神奈川・横須賀市にある『横須賀美術館』(※文化の日は無料開館)。
美術館前の海沿いの道から本館に向かう小路。左右に高さ3mの鉄板がV字に並べられ“谷のような空間”が46m続いています。
これも現代美術の作品で、鉄の壁の間を進んだ先にあるのが本館。
横山部員:
「全面ガラス張りでめちゃめちゃ綺麗な建物。入った瞬間の解放感がすごい」
“建築界のノーベル賞”と言われるプリツカー賞を受賞した山本理顕さんが設計した美術館の特徴は他にも。
『web美術手帖』橋爪編集長:
「館内の天井や壁面に大小いろんな丸穴が空いていて、柔らかい自然光が展示室に入ってくる。こういう様子を見てもらいたい」
屋上へ上がると何も遮るものがない海の景色が広がり、時には水平線近くを進む潜水艦など横須賀ならではの光景も楽しめます。
『横須賀美術館』学芸員・沓沢耕介さん:
「高さを抑えて、後ろの山の稜線に収まるような、自然の中に溶け込んだような奥ゆかしい建物になっている」
展示は近現代美術が中心で、「谷内六郎館」では創刊から26年にわたり週刊新潮の表紙を描いた谷内六郎さん作品が鑑賞できます(※文化の日当日はかなりの混雑が予想されます)
11月3日までは海に関する展示を開催中。
海で遊ぶ子供の目線になって描いた作品「雲の物語」(1960年)。
海辺に立つ後ろ姿の女の子。見つめる先にあるのは象の形をした雲や灯台。その上に空が大きく広がっているのは、週刊新潮のタイトルを入れるためとのこと。
文化の日に無料になる施設はまだまだたくさん。足を運んで芸術の秋を満喫するのも良いかもしれません。
(THE TIME,2025年11月3日放送より)
