クマ撃退スプレー開発=徳島の企業、国産珍しく―名前は「一目散」、コンセプトは「共存」

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2025年11月04日 07:31  時事通信社

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クマ撃退スプレー「熊一目散」(右)。左は練習用スプレー=10月15日、徳島県阿南市
 クマによる死者数が過去最悪を記録する中、徳島県阿南市の企業が撃退スプレーを開発した。自社が得意とするトウガラシ成分を活用し、コンセプトは「クマと人との共存」。スプレーは海外製が多く出回り、国産は珍しい。売れ行きは好調といい、開発担当者は「市場にはさまざまな製品があるが、効果のある製品を選んでほしい」と話す。

 開発したのは、動物用医薬品などを製造するバイオ科学(同市)の奥谷陽・東京事務所企画営業部本部長(40)。アウトドア好きなことからクマ被害に関心を持ち、自社が手掛けるトウガラシ製品の知見を生かした国産スプレーの開発を思い立った。書籍を購入するなどして生態への理解を深め、トウガラシに含まれる辛味成分「カプサイシン」を配合したスプレーの試作を繰り返した。

 大学と共同研究し、実証実験も実施。スプレーを浴びたヒグマが走って逃げ、鼻水を垂らしながら顔を拭うなど、既製品と同等の効果が確認できた。約3年の研究開発期間を経て、「熊一目散」と名付けて5月に販売を開始。ホームセンターやアウトドア用品店などで販売し、インターネットからも購入できる。売れ行きは「作った分はほぼ注文を頂いている」(奥谷さん)という。

 海外製のスプレーは1本当たり1万〜2万円台が主流だが、「熊一目散」は税込みで9900円、ホルダー付きでも同1万4080円に抑えた。練習用スプレー(同3850円)も販売する。

 スプレーの噴射距離は最大10メートル。クマが走りながら向かってくる場合は、自身が風上に立ち、スプレーで「S字を大きく描き、煙幕をつくるイメージで使ってほしい」と奥谷さん。ゆっくり近づいてくる場合は、5メートルほどの距離を保ち、クマの顔面を目掛けて噴射すると効果的という。

 スプレーはクマを単に撃退するのではなく、山に逃げさせることで人との共存を図るよう考えられた。奥谷さんは「クマと人が適切な距離を取るためのツールになれば」と話している。 

クマ撃退スプレー「熊一目散」を開発したバイオ科学の奥谷陽さん=10月15日、徳島県阿南市
クマ撃退スプレー「熊一目散」を開発したバイオ科学の奥谷陽さん=10月15日、徳島県阿南市

このニュースに関するつぶやき

  • 「風上に立つ」 場合によってはこれがなかなかハードル高くないですか… 熊は思っているより素早いと聞きますし。。。
    • イイネ!32
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