ノーベル賞授賞式を終え、メダルを手に記念撮影に応じる、生理学・医学賞を受賞した大阪大の坂口志文特任教授=10日、ストックホルム(代表撮影・時事) 【ストックホルム時事】今年のノーベル賞授賞式が10日夕(日本時間11日未明)、ストックホルムのコンサートホールで開かれた。生理学・医学賞に選ばれた大阪大の坂口志文特任教授(74)と、化学賞に選ばれた京都大の北川進特別教授(74)に、スウェーデンのグスタフ国王からメダルと賞状が授与された。
2人はそれぞれ名前を呼ばれた後、壇上中央に歩み出て国王からメダルと賞状を受け取り、しっかりと握手。会場からは大きな拍手が送られた。終了後、坂口さんは報道陣に「とても光栄なことだ。私の人生の中で特別な日だと思う」と話した。
坂口さんは1995年、過剰な免疫を抑制する「制御性T細胞」の目印となる分子を見つけ、その存在を世界で初めて確認。現在では自己免疫疾患やがんなどの治療に応用する研究が進められており、免疫学の大きな研究テーマへと発展した。
北川さんは97年、金属イオンと有機分子を組み合わせた金属有機構造体(MOF)を世界で初めて合成。特定の気体を選んで吸着させられるため、大気中の汚染物質の除去や危険なガスの運搬など、環境や資源、エネルギー問題の解決に向けた応用が期待されている。
日本人のノーベル賞受賞は、米国籍取得者を含め29、30人目。生理学・医学賞は2018年の本庶佑京大特別教授以来、化学賞は19年に受賞した旭化成の吉野彰名誉フェロー以来となる。

ノーベル賞授賞式を終え、笑顔を見せる化学賞の北川進・京都大特別教授(中央)=10日、ストックホルム(代表撮影・時事)