
働き方が多様化するなか、夜遅くまで働きながら、子どもを育てている人がいます。
シフト制の仕事や夜勤、急な呼び出しなど「昼間に預けられれば十分」とは言いきれない働き方は、決して珍しいものではありません。
夜間保育は、そんな毎日の暮らしを支える仕組みのひとつです。
今回、千葉県松戸市の認定こども園「さわらびドリームこども園」を取材しました。
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園を訪ねたときは、ちょうど夕飯の時間で、15人ほどの子どもが部屋に集まり、仲良く食事をしていました。
「さわらびドリームこども園」は、夜間保育を行っている施設です。
1970年に「さわらび保育園」としてスタートした当時は昼間のみの保育でしたが、2014年から夜間保育も始めました。
現在、昼間の保育は約100人、夜間保育は35人の子どもが在籍しています。
「さわらびドリームこども園」誕生の経緯について、園長の彦惣久美子さんに聞きました。
「さわらびドリームこども園」園長 彦惣久美子さん
「仕事を持つ保護者のライフスタイルの多様化により、通常の保育時間では対応しきれず、認可外の施設を併用しなければならない『二重保育』の問題が深刻化していました。2014年、さわらびドリームこども園はその問題を解消するために開設しました」
「二重保育」とは、例えば、昼間の保育園に預けた後、夜間営業の保育施設に子どもを移してまた預けたりするものです。
こうした保護者の負担を解消するために、「さわらびドリームこども園」が誕生しました。
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「さわらびドリームこども園」では、平日は7時〜24時、土曜日は22時まで子どもを預けられます。
18時までは、同じ建物で昼間に通う「さわらびこども園」の園児と一緒に過ごします。
以降は夜間保育専用の部屋で、お風呂や夕飯、おもちゃ遊びなどをした後、21時頃には布団に入り、保護者の迎えを待ちます。
利用者の声「子どもを預かるだけでなく、働きやすい環境を作ってくれている」「さわらびドリームこども園」の利用者にも話を聞きました。
IT業界で働く中国出身の女性で、2人の子どもを預けています。
2人の子どもを預けている保護者
「出産した後は時短で働いていて、当時は18時に迎えに行くことができたのでこども園に預けました。その後転職してフルタイムで働いているので、18時までは厳しいなと思って、ドリーム園に切り替えました。保育園って、ただ子どもを預かって頂くところではなくて、働きやすい環境を作って頂いている。凄く心強かったです」
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園長の彦惣さんによると、利用者は、医療や介護、物流、自営業の方など、仕事時間が夜遅くになる人が多いそうです。
また、シングル家庭の人もいます。
さらに、このこども園の中には、育児に関する相談ができる「子育て支援センター」を設けており、 平日の22時まで受け付けています。
こども園の利用者だけではなく、地域の人も利用できます。
また「さわらびドリームこども園」では、卒園児を対象に、夜間の放課後児童クラブを運営しています。
「さわらびドリームこども園」園長 彦惣久美子さん
「小学校にある児童クラブは、19時までなんです。そのため『さわらびドリームこども園』を卒園した子どもたちは、預け先が無くなってしまうという現実に直面していました」
保護者からは「小学校へ入学したあとも、今までと変わらず働くことができて助かっている」という反響もあるそうです。
認可の夜間保育所はなぜ増えないのか?こども家庭庁の調査によると、認可されている夜間保育所は、2024年度の時点で全国に74か所です。
千葉県では今回取材した「さわらびドリームこども園」1か所のみです。
なぜ認可の夜間保育所が増えないのか?
理事長の和田泰彦さんに開園当初の話を聞きました。
「社会福祉法人さわらび福祉会」理事長 和田泰彦さん
「周囲の住民から『風紀が乱れる』だとか『夜の送り迎えだと、車の騒音がうるさい』などの偏見がありました。ほかにも『子どもがかわいそうじゃないか』などの声が大きかったのは事実です。ただ実際、開園して10年経ちますが、定員を割れたことがないのは、需要がずっとあることの証明と思っています」
取材を通して感じたのは、子ども、そして保護者にとって大切なのは「昼か夜か」ではなく、「安心できる環境があるかどうか」ということでした。
(TBSラジオ「人権TODAY」担当:亀山真帆)
