
健康のために控えるべきだと分かっていても、あえて高カロリー、高糖質、高脂質な食事を楽しむ「ギルティ消費」が広がっている。その象徴ともいえるのが、「背徳グルメ」と呼ばれる高カロリーなメニューだ。
こうした需要を受け、コンビニ大手やうどんチェーン各社は背徳グルメの商品を相次いで投入している。なぜ今、企業はギルティ消費に着目するのか。各社の取り組みから、その背景を探った。
●なぜ「ギルティ消費」が広がるのか
ギルティ消費は、実際にどの程度広がっているのか。まずは調査結果から見ていく。
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ぐるなびによると、背徳グルメを「よく食べる」「たまに食べる」と回答した割合は53.1%で、2022年調査(39.0%)と比べて10ポイント以上増加した。
背徳グルメを食べるシーンとしては「食べることを楽しみたい時」(42.1%)、「ストレスを発散したい時」(36.5%)、「魅力的な背徳グルメを見つけた時」(29.8%)が上位だった。性別、年齢別で見ると、男性はどの年代でも「食べることを楽しみたい時」が最多だった。一方、20〜40代の女性では「ストレスを発散したい時」が最も多かった。
背徳グルメの購入先や食べる場所としては「外食」(66.3%)が最も多く、「スーパーやコンビニで購入」(37.2%)、「飲食店のテークアウト」(15.5%)が続いた。特に女性では「スーパーやコンビニで購入」の割合が高く、45.0%に達した。
食べることが多い背徳グルメとしては、「肉をたっぷり盛りつけたメニュー」(37.4%)、「好きなものをたくさん食べられるメニュー」(37.3%)、「炭水化物たっぷりのハイカロリーメニュー」(35.6%)が上位だった。
●物価高でも「我慢したくない」 企業がギルティ需要に着目
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こうしたギルティ消費における需要を、各企業はどうやって取り込もうとしているのか。
全国で「はなまるうどん」を展開するはなまる(高松市)は5月13日、肉を主役にした新コンセプト店舗「はなまるうどん肉店(赤坂一ツ木通り店)」(東京都港区)をオープンした。
肉のトッピングを前面に打ち出し、ボリュームと満足感を重視した商品を展開している。看板商品の「爆担々」(中:1380円、大:1600円)は、約340グラムの肉を載せ、総重量は約1キロに達する。
丸亀製麺も4月7日から「丸亀うどんメシ」を展開している。「やみつきソース味」「ふわ玉ソース味」「やみつきねぎ塩味」「海鮮ねぎ塩味」の4種類で、細かくカットしたうどんをご飯や具材と炒め、ソースで味付けして提供する。
同社は、AIやSNSの普及で、たくさんの情報の中から常に最適解を選ぶことを強いられている現代人は「選択疲れ」を抱えていると分析する。合理性が優先されやすい時代だからこそ「本能を解放し全開になる、そんな食体験がもっとあってよいのではないかと考えた」という。
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外食チェーンだけでなく、コンビニもギルティ需要の取り込みを進めている。
ファミリーマートは6月2日から「巨大オールスター祭」を開催した(数量限定)。「でか〜いコーヒーゼリー」(388円)や「大きなサンドイッチ トリプルエッグ」(398円)、通常の約2倍サイズの「ジャンボ焼きとり ねぎまタレ」(258円)など、計14商品を通常より大きなサイズで販売した。
同社ではこれまでも、価格はそのままに容量を増やす「お値段そのまま45%増量作戦」や、背脂、にんにく、から揚げ、マヨソース、チーズなどを組み合わせた「背徳メシ」など、ボリューム感を訴求した企画が好評を得てきた。
ファミマによると、物価高騰や多忙な日常の反動で「今日だけは好きなものを好きなだけ食べたい」と、背徳感を伴う満足感を求める「ギルティ消費」の傾向が強まっているという。
●「刺激×旨さ」がやみつきに
サントリービバレッジ&フード(以下、サントリーBF)もギルティ消費に着目した企業の一つだ。
同社が3月に発売した炭酸飲料「ギルティ炭酸 NOPE(ノープ)」は、発売から1週間で出荷本数2000万本を突破した。14年ぶりの新炭酸ブランドとして投入された商品で、完熟フルーツやスパイスなど99種類以上のフレーバーを組み合わせ、“やみつき”になる味わいを目指した。
サントリーBFによると、コロナ禍以降、20〜30代を中心にストレスが増加し、背徳感のある飲食を楽しむ傾向が強まっているという。同商品は、1人でだらだらと過ごしながら飲むことで、ストレスが溶けていくシーンをイメージして開発した。
実際に、ラーメンやピザ、スナック菓子など高カロリーな食品と組み合わせたり、ゲームやスマホ視聴のお供として楽しんだりする声が寄せられている。一方、想定していたリラックスシーンだけでなく、出社前や仕事中などに飲用するケースも見られるそうだ。
●ローソンでも大盛り商品が好調
こうしたギルティ消費の広がりについて、ローソンの商品本部 飲料・加工食品部マーチャンダイザーの多和孝徳氏は「刺激とうまさが掛け合わさった商品は、やみつきになって再び食べたくなる」と分析する。
過去記事で紹介したように、ローソンではオリジナルカップ麺「麺大盛り」シリーズが好調だ。レギュラーサイズの焼そばカップ麺は販売が伸び悩んだ一方、大盛り仕様に刷新したことで売り上げが伸長した事例もある。
多和氏が挙げる「刺激」には、辛さやニンニク、大盛りによる満腹感も含まれる。こうした要素は、近年広がるギルティ消費と親和性が高い。
物価高が続く中、消費者の節約志向は強まっている。一方で、日々のストレスや閉塞感を抱える人も少なくない。そうした中で、数百円から数千円程度で手軽に満足感や非日常感を得られるギルティ消費は、コストパフォーマンスの高い“プチぜいたく”として受け入れられているようだ。
節約したい一方で、我慢ばかりはしたくない――。ギルティ消費は、そうした相反する消費者心理を映し出すトレンドとして、今後も企業の商品開発に影響を与えそうだ。
下記の関連記事にある「【完全版】なぜ「ギルティ消費」が支持されるのか ファミマや丸亀製麺も着目する“背徳感”の正体」では、配信していない各社の背徳グルメの写真とともに記事を閲覧できます。
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