「牛角とハッピーターン」「いきなり!ステーキと富士そば」 異色すぎるコラボが次々生まれている背景とは?

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2026年07月04日 05:40  ITmedia ビジネスオンライン

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いきなり!ステーキと富士そばのコラボ(筆者撮影)

 外食チェーンを中心に異色のコラボ企画が増えている。


【画像】いきなり!ステーキと富士そばのコラボメニュー


 コロナ禍の前後から、コラボ自体はもちろん存在した。例えば、大衆チェーンがその道を極めた有名シェフ・有名店とコラボして付加価値の高い商品を提供するケースなどが該当する。ところが、最近は通常だとなかなか結び付かないようなジャンルの異なる外食同士のコラボが見られるようになった。


 「いきなり!ステーキ」と立ち食いそば「名代 富士そば」や、「肉汁餃子のダンダダン」と「天下一品」、さらには「牛角」と「ハッピーターン」。この他にも回転寿司「くら寿司」がスーパー「ビオラル」とコラボしてグミを販売するなど、冒険的な企画が次々と実施されている。こうした異色コラボの狙いはどこにあるのか。


●全社規模ではなく、一部店舗でコラボしたケース


 いきなり!ステーキと富士そばのコラボは、東京・立川の店舗限定で実施した。両チェーンの店舗は非常に近く、それを生かして「ご近所同士の自然な協力関係」としてコラボを企画している。いきなり!ステーキを運営するペッパーフードサービスによると、もともと交流があった運営企業の社長同士の発案でコラボが決まったという。


 全社規模ではなく、特定店舗の地縁をベースに動いたのが、大きな特徴だ。両チェーンの運営元に取材したところ、1日で両店をはしごする人も珍しくなく、相互送客として成功したという。


 両チェーンについては、今更説明の必要もないだろう。いきなり!ステーキは立ち食いによって高額なステーキの価格を破壊し、一世を風靡(ふうび)した。富士そばは東京を代表する立ち食いそばのチェーンであり、かつ丼の人気も高い。両チェーンとも立ち食いをコアに、高品質な食事を安価に提供して人気を博してきた点では共通点が多い。顧客層もかなり被っている。


●どんなメニューを提供したのか?


 いきなり!ステーキ立川北口店で提供したのは、各種ステーキに300円の追加料金で、富士そばの紅しょうがとミニ富士そば、さらに「富士おろし」をセットできるというもの。また、ライスを付けた550円のセットも時間限定で用意した。紅しょうがを50円プラスで大盛、100円プラスで富士盛にするサービスもあった。サプライズメニューも多い富士そばがやりそうな企画である。


 店舗に入ると、まず「そばアレルギーはないか」を丁寧に聞かれた。コラボ期間中は特に安全安心に気を使っている姿勢が見て取れた。実際に食べてみると、ステーキに紅しょうがが意外と合うのが面白かった。


 考えてみれば、牛丼チェーンの無料トッピングには、必ず紅しょうがの箱が用意されている。今回のコラボメニューでは大根おろしも添えられているので、口の中がさっぱりする効果もある。紅しょうがや大根おろしをトッピングした、和のステーキが新しい定番になる可能性を感じた。そばはスープを出すように小鉢での提供だったが、個人的には普通サイズ、せめて2分の1サイズで提供してほしかったという感想を抱いた。


 売り上げは想定した以上に好調だったとのこと。「コラボメニューが300円とお求めやすい価格だったのと、SNSで拡散された効果があったのではないか」(ペッパーフードサービスの広報担当)と分析している。


 富士そば立川店では、2種類のコラボメニューを発売した。ステーキソースを絡めた豚肉を乗せ、“追いステーキソース”とブラックペッパーで仕上げた「いきなり×富士そば」(730円)と、同じくステーキソースを使った「ミニいきなり豚丼セット」(800円)だ。後者は冷たいもりそばか、温かいかけそばが付く。


 どちらも、いきなり!ステーキのステーキソースと、富士そばのつゆを掛け合わせた、コラボならではの味わいだ。期間中、いきなりそばは約750食、ミニ丼セットは約1550食、計2300食を販売した。ステーキソースがそばに合うと好評で、予想を大きく上回る効果だったという。いきなり!ステーキらしさを強く出すのなら、豚肉でなく牛肉を使う手もあった。しかし、牛肉を使うと1000円を超えてしまい、富士そばの価格としては高過ぎるということだと推察する。


 富士そばを展開するダイタンホールディングス広報によると、立川だけでなく渋谷でも他チェーンとのコラボをしているとのこと。例えば、今年の3月にはカレーショップの「C&C」とは、さばコロッケなどを手掛けた。今後もエリアを限定せず、さまざまな地域限定コラボの可能性があるという。店舗発想のオリジナル企画は、富士そばが長年大切にしてきた企業風土でもある。「このお店でしか食べられない」体験価値を通して、地域の顧客に足を運んでもらう施策に位置付けている。


 今回のコラボは、非常に近い距離に両店があって新たな納品ルートを確保する必要がなかった。この点も隣接店舗とのコラボのメリットだ。


●牛角とハッピーターンのコラボ、どんな内容だったのか


 ダンダダンと天下一品のコラボ商品「こってりスープの土鍋肉汁餃子」も話題を呼んだ。4月27日から販売し、5月末までの提供予定であったが、5月中旬には売り切れる店が続出していた。


 ダンダダンの15周年を記念して、両チェーンの担当者同士がお互いのブランドが好きだったことと、社員にも熱烈なファンが多いという共通点があったことから、企画がスタートしたという。両ブランドの看板メニューの良さを引き出すにはどうするかを考えて商品を開発。餃子の中からあふれる肉汁と、濃厚なこってりスープが一体となることで、食べ進めるほどにクセになる味わいを目指した。


 牛角とハッピーターンのコラボも意外性では負けていない。


 コロワイドグループのレインズインターナショナルが運営する牛角は創業30周年、亀田製菓のハッピーターンブランドは50周年をそれぞれ迎える。そこで、子どもから大人まで親しまれる両ブランドのコラボを企画。「もっとハッピーな焼肉体験を届けられないか」と、コラボが実現したという。期間は5月25日〜7月5日。全国の「牛角」「牛角食べ放題」で実施し、なくなり次第終了。


 企画は牛角で使用する全ての部位をベースに考案し、亀田製菓監修の下でハッピーターンの甘じょっぱさと相性の良いメニューを開発した。


 味の決め手となる「牛角オリジナル焼肉パウダー〜ハッピーターン味〜」がかかった肉を焼き、さらに追いパウダーを振りかけて食べることで、クセになる甘じょっぱさを実現している。商品ラインアップは「ハッピー豚カルビ」「ハッピートロ」「ハッピーチキン」「牛角アイス〜ハッピーターン味」の4種類だ。


●寿司とグミのコラボも


 くら寿司と、ライフコーポレーションの健康志向スーパー「ビオラル」とのコラボは、両チェーンの食への価値観が共通していたので実現した。


 くら寿司は全ての食材で、化学調味料、人工甘味料、合成着色料、人工保存料を一切使わない、四大添加物無添加を貫いている。一方のビオラルは、ライフコーポレーションが2016年から展開している、オーガニック、ローカル、ヘルシーなどをコンセプトとしたナチュラルスーパーマーケットだ。関東と関西に17店を展開している(7月1日時点)。2020年からは、プライベートブランド「BIO-RAL(ビオラル)」も発売している。


 今回のコラボは、全国のくら寿司でビオラルの人気商品であるてんさい糖を使ったグミシリーズから2品のアソートパックを販売するものだ。てんさい糖を使用したグミは2024年から展開しており、累計で50万点以上を販売。現在は6アイテムを販売している。


 コラボとして展開しているのは「シャインマスカット・いちご」と「ぶどう・みかん」の2種類で、6月10日から販売中だ。くら寿司がグミを扱うのは初めてで、新しい商品の投入により、新規顧客の開拓やリピーターの再訪問の呼び水として期待している。


 一方のライフコーポレーションとしては、ビオラルの知名度はまだ低いと認識しており、全国チェーンのくら寿司とのコラボにより、より多くの人に知ってもらう機会にしたいとしている。


 今後のトピックとしては、ドムドムハンバーガーと銚子電鉄のコラボが挙げられる(両社はどちらもユニークな商品を企画することで知られる)。ドムドムの東京都と千葉県の一部店舗にて、銚子電鉄の名物「ぬれ煎餅」を使った「ぬれ煎餅バーガー」を8月10日から発売する企画が進められている。


 これまで紹介してきたように、コラボにはさまざまなパターンがある。いきなり!ステーキと名代富士そばは「店が隣」。くら寿司とビオラルは「価値観の近さ」。肉汁餃子のダンダダンと天下一品は「担当者が互いにファン」。このように、何かしらの親近感が動機になっている。


 コラボした両ブランドにとって、これまで自社だけでは取り込めなかった相互送客が見込める。そして、話題性を提供することで、SNSで拡散されるメリットがある。一見、何の関係もなさそうな会社同士のほうが意外性がある。


 ステーキに紅しょうが、焼肉に米菓の粉、ぬれ煎餅で挟んだバーガーのような、「もしかしてありかも?」といった新しい食体験を提供する。すると、飽きっぽい顧客の好奇心が刺激される。ブランド力を上げるきっかけになり得るのが、異色コラボの醍醐味(だいごみ)ではないだろうか。


(長浜淳之介)



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  • 隣どうし あなた(いきなり!ステーキ)とわたし(名代 富士そば) コラボぉ〜
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