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帝国データバンクによると、2025年度における100円ショップの市場規模は約1兆1100億円だ。最大手のダイソーを中心に寡占化が進んでおり、ダイソーとセリアの2社だけでもシェアは8割を超える。
両社とも同じような商品を売っている印象を受けるが、ダイソーが一部高い商品を扱う一方、セリアは100円を貫いてきた。セリアが100円を維持できるのは、商品構成に特徴があるためだ。圧倒的なシェアを誇るダイソーとそれに続くセリア、2社の特徴と相違点を解説していく。
●15年連続で過去最高の売り上げを更新しているダイソー
ダイソーを運営する大創産業は好調が続く。2025年2月期の単体売上高は6765億円で、2026年2月期は6983億円。節約志向の高まりで100円商品の需要が高まったことなどを背景に、15年連続で過去最高を更新した。国内店舗数はこの間に4625から4784に増えた。
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ダイソーの商品数は7万6000で、毎月1200ほどの商品を開発している。商品に占めるPB(プライベートブランド)比率は90%で、食品の割合は1割とされる。食品はメーカー品であることから、非食品のほとんどがPBとみられる。非食品はインテリアや布もの、文房具や食器類、アウトドア用品など多種多様だ。
ダイソーはさまざまな場所に出店できるノウハウを有しており、ロードサイドや施設内、商店街などに出店している。売場面積はコンビニサイズより小さいものから、平均的なスーパーの3〜4倍のサイズである1600坪台まで対応する。
●なぜ業界1位になれたのか
かつて100円均一の業態は移動販売や催事での販売が中心であり、1980年代から店舗形態が増えた。ダイソーが1号店を構えたのは1991年で、不景気下の1990年代後半から著しく店舗数を増やした。
業界トップになれたのは500坪以上の大型店を開発し、他社より品ぞろえを充実させたからだ。商品の豊富さが消費者に支持されたわけだ。大型店の出店には費用がかかるため、新興企業が展開するのは難しい。店舗展開ではフランチャイズ加盟事業者の資本を活用したとされる。
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一方で他社はフランチャイズ化に成功せず、資本も限られていたことから小型店に注力。1990年代当初から大型店のダイソー、小型店の他社という構図ができていた。たらればの話になるが、コンビニ業界のように総合スーパー(GMS)を展開する小売大手が参入していれば、ダイソーのライバルが現れていたかもしれない。だが当時はGMSの衰退期であり、100円ショップに注力する小売大手は現れなかった。
●近年は「300円ショップ」も展開
ダイソーはコストアップに対応すべく、20年ほど前から300円、500円などの高額商品を取り扱い、原材料費の上昇が著しい近年ではその数が増えている。電源用のタップなど1000円を超える商品もある。そして「300円ショップ」も開発した。
その一つが、2018年に1号店を出した「THREEPPY」だ。店舗は薄ピンクを基調としたデザインで、20〜40代の女性がターゲットだ。商品はヘアアクセサリーや小物など、女性を対象とした雑貨が中心で、ぬいぐるみも販売する。商品の色合いはピンクや水色などかわいらしいものが中心だ。ダイソーの一部エリアを改装する形で出店しており、2025年度末時点で国内601店舗を展開する。
2021年には新たに「Standard Products」も出店。店舗にダイソーらしさは見受けられず、シックな雑貨店という印象だ。商品は食器や収納用品、タオル、文房具などさまざまで、商品の質感はダイソーの商品よりも高い。商品の色合いは白や青、黒などが中心であり、女性向けのTHREEPPYとは対照的だ。2025年度末時点で228店舗を展開する。
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他社が展開する3COINSが好調なように、大創産業の300円ショップはダイソーよりも高価格であるものの、雑貨としては依然と低価格で100円ショップよりも品質が高い点が支持されている。
●100円均一を死守しつつ、利益率が高いセリア
セリアは1980年代に創業し、2003年に「Seria 生活良品」の1号店を出店して、会社名をセリアに変更した。ダイソーのような大型店を出店したが、上手くいかず小型の店舗に注力するようになった。6月末時点で2155店舗を展開し、そのほとんどが直営店である。
商品数は2万8000で、毎月500以上の新商品を投入している。当初からおしゃれな雑貨店をアピールしており、2007年から「Color the days」をコンセプトに掲げ、白と黄緑の配色による店舗を展開していく。店舗の入口側に陳列する食器類などを中心に、他の100円ショップより品質やデザインに優れているという理由で支持されてきた。
ダイソーとの大きな違いは「100円均一」を死守している点だ。全品100円で、店内に300円・500円の商品は存在しない。100円の安心感で差別化を図っている。
100円死守でも利益率は好調だ。規模の経済で劣る3位以下の100円ショップは原材料費や人件費の高騰でギリギリの状況にあり、営業利益率が3%を下回る競合が多い。対してセリアは8%台となっている(2025年度実績)。高収益体質について、同社は売れない商品を見極めるデータ分析が強みであると主張している。
だが、それは他社も実施していることだ。セリアの最大の特徴は、商品のほとんどが雑貨な点にある。売り上げの98.8%を占め、利益率の低いその他の食品などの比率はかなり低い。前述の通り商品の入れ替えが早く、売れない商品もすぐに排除している。
品ぞろえを重視するダイソーに対し、小型店のセリアはついで買いを狙うセレクトショップのような位置付けだ。目的買いだけでなく衝動買いをする客が多いため、商品の入れ替えが早くても集客への悪影響は小さい。筆者の所感だが、最近では温水に対応しないボトルなど、商品の質を落とすような施策も散見される。こうした策もコスト削減に貢献しているとみられる。
現状では小売の中でも高収益体質を維持しており、セリアが他社のように高額商品を増やす可能性は低い。大型店から小型店まで対応するダイソーと小型店で100円を死守するセリア。3位以下が苦戦する業界で、2トップによる快進撃は進みそうだ。
●著者プロフィール:山口伸
経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。
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