くら寿司「ちいかわ騒動」の深層、過去にはセブンも…… ランダム景品の収益力と課題

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2026年09月10日 08:21  ITmedia ビジネスオンライン

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くら寿司、「ちいかわ」コラボが騒動に

 くら寿司の「ちいかわ」コラボをめぐり、騒動が起きている。8月21日から始まったキャンペーンでは、皿を回収ポケットに入れて挑戦するゲーム「ビッくらポン!」の景品として、フィギュア5種、缶バッジ8種、アクリルマグネット8種が用意されていた。


従業員の不正行為が判明したと発表


 しかし、この企画に対して疑惑の声が上がった。9月1日配信の弁護士ドットコムニュースの記事では、くら寿司で約1万8000円分を食べ、景品を17個獲得したにもかかわらず、目当てのフィギュアが1つも出なかったというSNS投稿が紹介された。


 SNS上では、従業員が景品を抜いているのではないかと疑う声も上がっている。これを受け、くら寿司は9月2日、公式Webサイトにて不適切な取り扱いを指摘する投稿について事実関係を調査していると発表。景品は原則として鍵付き倉庫で保管し、複数人で開封・補充するなどの管理方法も説明した。不適切な行為が判明した場合は、法的措置も含めて対応するとした。


 そして9月5日、同社は従業員による不正行為が判明したとの調査結果を公表した。この発表に合わせて、翌日の営業からちいかわコラボキャンペーンを中止するとした。


 今回の不正発覚は、消費者が感じた違和感をSNS上で指摘したことがきっかけだ。その背景には、「ビッくらポン!」という仕組みが持つ2つの魅力が関係している。


 1つは「当たるかもしれないという体験そのものを楽しむこと」、もう1つは「欲しい景品を手に入れること」だ。今回1万8000円分を利用したユーザーは、前者の体験は得られたものの、後者の期待が満たされなかったために強い不満を抱いたのだろう。


 店舗側が提示する「あたり(景品全般)」と、客が期待する「あたり(目当ての景品)」にはギャップが存在する。このズレが「そもそも目当ての景品が間引かれているのではないか」という疑念を生み、一連の騒動へと発展したと考えられる。


●「一部の暴走」が企業全体のイメージに影響


 景品の抜き取りを疑われる背景には、他社での前例が存在する。セブン-イレブン・ジャパンは7月、一部店舗で関係者による買い占めや転売、特定の顧客への優先販売などの不適切行為が行われていたとして、加盟店へ警告文を出した。


 相次ぐSNS上の指摘を受けて本部が調査したところ、販売前の取り置きや転売の事実が判明し、中には加盟店契約の解除にまで至ったケースもあったとされる。


 どれほど本部が管理を強化しても、一部の店舗が独自判断で不正に手を染めれば、企業全体のブランドが失墜してしまう。セブンもくら寿司も組織ぐるみの不正ではないはずだ。しかし、一部の行いによって「企業全体の体質」だと見なされてしまうのが、フランチャイズや多店舗展開の厳しさである。


●コラボ中止では終わらない問題


 不正行為が確認された今、くら寿司には何が求められるのか。まず着手すべきは、不正の全容解明とその徹底した公表だ。すでに消費者の不信感は「ちいかわコラボ」単体にとどまらず、「ビッくらポン!」という抽選システムそのものへ向けられているからだ。


 このシステムはもはや単なる「おまけ」ではなく、対価を払って楽しむ商品の一部と化している。その象徴が、くら寿司が2023年に導入した有料オプション「ビッくらポン!プラス」だ。対象皿1枚あたり10円を上乗せすることで、3回に1回必ず当たる仕組みになっている。


 導入時の発表でも、コラボグッズ目当ての来店客による利用を想定している旨が明記されていた。つまり企業側も、このシステムをコラボ商戦における主要な収益源と位置づけていたわけだ。だからこそ、景品が正常に提供されない不正は、根幹を揺るがす重大な問題といえる。


 くら寿司も、景品が単なる食後のおまけではなく、来店や追加支出の強力な動機になっていることを十分理解しているはずだ。客側が勝手に期待を膨らませたのではなく、運営サイドが購買意欲を刺激してきた事実は押さえておく必要がある。


 なお、今回のコラボでは「3000円の会計ごと」に先着でグッズが必ずもらえる施策も用意されていた。景品の種類は異なるものの、条件を満たせば抽選なしで確実に手に入る選択肢が存在していた点は触れておきたい。


 しかし、抽選ならではのハラハラ感、いわば射幸心がもたらす体験の差は大きい。特に今回はゲーム画面にも「ちいかわ」のキャラクターが登場しており、アタリ・ハズレの過程そのものがエンタメコンテンツ化していた。


 だからこそ、ちいかわコラボを中止しただけで問題が解決するわけではない。今後くら寿司が取り組むべきは、顧客に「公正な仕組みで抽選が行われている」と納得させるか、あるいは「あくまでおまけ」という本来の位置づけに戻すことだ。「ビッくらポン!」に対する位置づけや運用構造を変えない限り、一度生じた不信感が拭えることはないだろう。


著者紹介:城戸譲


1988年、東京都杉並区生まれ。日本大学法学部新聞学科を卒業後、ニュース配信会社ジェイ・キャストへ入社。地域情報サイト「Jタウンネット」編集長、総合ニュースサイト「J-CASTニュース」副編集長、収益担当の部長職などを歴任し、2022年秋に独立。現在は「ネットメディア研究家」「炎上ウォッチャー」として、フリーランスでコラムなどを執筆。政治経済からエンタメ、炎上ネタまで、幅広くネットウォッチしている。



このニュースに関するつぶやき

  • くら寿司に今後必要なのは、コラボ商品の中抜き等「不正を起こさせない業務形態」を作り出して継続させる事だと思いますけどね(;^_^A
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