
「相手の声を文字で読める電話」が、じわりと広がっている。通話相手の声を文字にする電話アプリ「ヨメテル」の登録者数は、毎月数百人のペースで増え、8月末時点で4734件となった。提供する日本財団電話リレーサービス(東京都千代田区)は9月17日、文字化の精度を高める新機能の提供を開始した。
日本補聴器工業会の試算によると、国内には聞こえにくい人が約1400万人いるという。「ヨメテル」は、電話で相手の声を聞き取りにくい人に向けたサービス。相手の声をリアルタイムで文字にして画面に表示し、文字を確認しながら通話する仕組みだ。
「聴覚障害者等による電話の利用の円滑化に関する法律」に基づく公共インフラとして、総務大臣の指定を受けた同財団が、2025年1月に提供を開始した。24時間365日、発信・着信の双方向で使え、緊急通報にも対応する。身体障害者手帳の所持は問わない。
通話相手の側に特別な準備は不要で、冒頭2秒の音声ガイダンスを聞いたあとは、通常の電話と同じように双方が声で会話する。通話料はかけた人が負担し、声を文字にする料金は発生しない。
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●家族との「本音トーク」
利用者からは、これまで電話では最小限の会話にとどまっていた家族と、以前より話せるようになったという声が多いという。このほか、店や病院への連絡、特に予約内容の変更にも使われている。メールやLINEの返事を長く待てない急ぎの連絡も挙がった。
9月17日には、文字化の精度を高める新機能を追加した。「+(プラス)修正」は、AIが音声を文字にした後、文字入力オペレータが内容を確認し、必要に応じて修正する機能だ。
AIによるスピーディーな文字化に、人間による文脈の確認を加えることで、より正確で読みやすい文字表示を実現する。利用者は電話のかけ先や目的に応じて、速度を重視する「AI」と、正確性を重視する「+修正」を、その都度選べる。
加えて、入力した文字を合成音声で読み上げ、通話相手に伝える「TTS」機能も追加した。吃音や声帯摘出などで、発話が困難な人の利用を想定している。
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●羽田空港に「読める電話ボックス」が登場
9月21〜24日には、羽田空港第1ターミナル2階のマーケットプレイスに体験ブース「読める電話ボックス」を設置する。壁を隔てて「音声の電話」と「文字でも読める電話」の2つの世界をつくる。
ボックスからヨメテルで電話をかけると、壁を隔てた向こう側にある電話につながる。向こう側では相手が通常の音声電話で応答し、ボックス側では相手の声が文字として表示される仕組みだ。
その様子はボックス脇の大画面にも映し出し、体験者だけでなく、同行者や通りがかりの人も見られるようにした。各日午前10時30分〜午後6時まで、予約なしで体験を受け付ける。
日本財団電話リレーサービスは、今回の体験を通じて、ヨメテルの認知拡大と利用機会の創出を狙う。「ヨメテルが福祉サービスではなく、一般の電話と同じ公共インフラであることを知ってほしい。電話が音声から文字へと広がっていく中で、ヨメテルもその一つの形だ」(同財団)と話す。
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