
ネパールと中国を襲った土石流の発生から1か月です。死者は1400人を超え、日本人5人を含む5000人以上が行方不明となっています。道路が寸断された現地ではテント生活が続いていて、生活の立て直しが急務となっています。
【写真を見る】「世界への警告だ」気候変動対策の強化を各国に訴えるネパール首相
発生から1か月経つも復旧進まず…ネパール・中国の土石流土石流の発生地点から、約50キロ離れたネパール・ベトラワティは、甚大な被害を受けた地域の一つです。
記者
「川の周囲には大きな岩がたくさん漂着しています。上流から流れてきたもので、いかに当時、大量の土砂や岩を伴った激しい濁流だったかが分かります」
土石流の発生から1か月経ちますが、川の水は茶色く濁り、建物は土砂に飲み込まれたまま。道路や橋が流されたことで、復旧は進んでいません。
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この街で暮らしていたバッタさん(48)は、濁流に襲われるも、流木や電線にしがみつき、奇跡的に命をとりとめましたが...
土石流で被災 バッタさん(9月1日/ネパール・カトマンズ)
「妻の行方が分からない」
当時、一緒にいた妻・カルパナさん(43)は目の前で流され、いまも行方が分かっていません。
土石流で被災 バッタさん
「(妻の)手をつかんで逃げていたが、とてつもない流れで引き離されてしまった。妻がいなくて寂しい」
土石流の後、街に戻ったのは、この日(24日)が初めて。
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自宅付近に近づくと...
土石流で被災 バッタさん
「これは右足の靴です。もう片方は流されてしまった。私はここに這い上がった」
当時、履いていた靴が残されていました。
ここで、妻と2人で鉄筋の販売店を営み、10年近く暮らしてきました。
土石流で被災 バッタさん
「ここに私の店があって、奥に住居があった。(妻との思い出)は数え切れない。忘れることなんてできない。とても美しく賑やかな街だった」
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しかし、活気に溢れていた街は、変わり果てた姿に…
土石流で被災 バッタさん
「なんと言えばいいのか...心が空っぽ。(妻の生存の)可能性はもうない。みんなが泣き崩れて苦しんでいる。元通りになんて戻らない」
被害の爪痕は、同じ地域の別の場所でも...
記者
「小学校だった建物ですが、泥水が流れ込み、教室の中はぐちゃぐちゃになっています」
子ども達が使っていた机は泥をかぶり、文房具やノートが散乱していました。
土砂は校舎の2階部分まで押し寄せたのでしょうか。階段付近には、大量の泥が残されたままです。
土石流から1か月。ネパールだけで5000人以上の行方が分かっていません。子どもを含む家族5人とみられる日本人5人も、連絡がとれないままです。
この間、水力発電所のトンネルや住宅などから生存者が救出されることもありましたが、当局による救助活動は近く、打ち切られる見込みです。
それでも、家族の手がかりを見つけようと、捜索を続けている人も...
記者
「こちらの住宅は1階が完全に泥に埋まっています。中に取り残されている人がいるかもしれないということで、重機を使って泥をかき出しています」
この家に住んでいた男性は、母親と4歳の息子を探し続けています。
母親と息子が行方不明 ラギミレさん(30)
「気力がなくなってしまい涙に暮れていますが、母と(4歳の)息子がこの家にいたかもしれないので捜している」
23日、被災地で行われたのは、土石流のあと連絡がとれなくなった人たちの追悼儀式です。祭壇には、行方不明者の写真と人形が並んでいます。
ネパールでの死者は1400人を超えていますが、遺体の損傷が激しく、多くが身元を確認できていません。
「世界への警告だ」ネパール首相の訴え甚大な被害をもたらした土石流はなぜ起きたのか。
ヒマラヤ山脈の標高5200メートルの地点から、氷河と岩盤が崩れたことが原因とされていますが、現地の研究者は、“温暖化の影響”を指摘します。
国際総合山岳開発センター ラジェシュ・バハドゥール・タパ氏
「気温が上昇しているため、ヒマラヤの氷河は以前よりも速いペースで溶けている。気候変動が氷河のプロセスに影響を及ぼした結果として、災害が発生したと言える」
ネパールのシャハ首相は国連総会に出席し、こう訴えました。
ネパール バレンドラ・シャハ首相
「土石流がネパールの山岳地帯を猛烈な勢いで襲った。そのすさまじさから、多くの人が『ヒマラヤの津波』と呼んだ。これはひとつの地域で起きた悲劇ではない。世界への警告だ」
各国に気候変動対策の強化を呼びかけ、“弱い立場の国が大きな代償を払っている”と訴えました。
ネパール バレンドラ・シャハ首相
「ネパールは世界の温室効果ガスの0.1%未満しか排出していない。私たちはこの危機を引き起こしていないのに、大きな代償を払わされている」
被災地では、厳しい避難生活が長期化しています。
記者
「家を流されたり、家族を失ったりした人たちのために、仮設のテントが建てられています」
この避難所では、生活に欠かせない水や電気も滞ったまま。住民に配布された防寒具はブランケット1枚でした。
夫・娘が行方不明 家を失った女性
「こんな寒い中でどこに住めばいいのか、どうやって生きていけばいいのか不安です。家にいた時はよかった。水もないし、体を洗うこともできないので困っている」
現地で、被災者支援にあたっている日本人の看護師は…
日本赤十字社 川�鷓潅了劼気�
「慢性疾患の患者さんへの対応が非常に大きな問題になっています。食べ物・水・トイレ、そして自分の居住空間、この一つ一つへのアクセスがあることが本当に大切だと思う」
ネパール政府は、被災した集落の人々を高台に移住させる計画ですが、生活の再建にはまだ長い時間がかかりそうです。
長期化している避難 インフラだけではない困難な点上村彩子キャスター:
1か月経っても復旧が全く進んでいない状況でしたね。インフラも破壊され物資も届いていない。そのような中での避難生活を余儀なくされている方がたくさんいらっしゃいます。
喜入友浩キャスター:
さらに、現地は寒暖差も激しいそうで、昼間は30度以上、朝晩は20度以下。その上、冬も近づいてきており、体力面が心配されています。
また、現地では断続的に雨が降っていて、増水した川を見ると色々なことを思い出して、恐怖に駆られてしまうという被災者も多くいるそうで、精神面のサポートも急務となっています。
日本も台風・大雨と自然災害が相次いでいますが、人の命が多く奪われるケースが増えていますよね。
上村キャスター:
私達が想像もしてこなかったような形での災害が起こっているなという実感があります。
ネパール・シャハ首相は、国連総会で「単なるひとつの地域で起きた悲劇ではない。世界への警告だ」と話しており、各国に気候変動対策の強化を訴えました。
一刻も早く、世界が連携して対処していく必要があります。
