
ファミリーマートは7月、東京・麻布台で“次のコンビニ”と位置付ける「FAMIMA」の旗艦店をオープンした。従来の店舗とは異なるデザインを採用しており、外観はSF映画に登場するコンビニのようだ。新店の監修はファッションデザイナーNIGO氏が手がけている。
商品構成ではアパレルやファミマの関連グッズに注力し、店内には更衣室を設けた。ファミマは近年「コンビニエンスウェア」を成功させており、旗艦店を通じてさらに強化する狙いだ。新店の様子をレポートしたうえで、その可能性を探っていく。
●見慣れたファミマとは全く異なる空間が広がる
筆者は9月中旬に同店を訪れた。
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従来のファミマは白や茶色の外観をベースに、シンボルカラーである白・緑・青を基調とした看板が特徴だ。一方でFAMIMAは外観がセメントカラー一色で、帯状の看板がない。ガラス張りで店内が見やすくなっており、商品宣伝用のデジタルサイネージを設置している。売場面積は約66坪で、通常のコンビニより一回り大きいサイズだ。
店内を筆者の主観で表現するならば「SF映画に登場するような、2030年代のコンビニ」である。天井全体が照明パネルになっており、店内は明るい。商品棚は角型で天板があり、レジやコピー機のコーナーは入口と反対側の壁際にある。レジ上には従来店と同じくデジタルサイネージを設置している。
●まるでアパレルショップのような品ぞろえ
同社が「『コンビニエンスウェア』の世界観を体験できる売場」と位置付けるように、FAMIMAはアパレルに力を入れている。コンビニエンスウェアとは、2021年にファミマが全国展開を始めたアパレルブランドだ。下着や靴下、Tシャツ類など軽衣類を中心に展開している。旅行や出張先で急に服が欲しくなったときに買えるアパレルとして定着した。
FAMIMAでは正面の入口側と、入口に向かって左側にグッズやウェア売場を設けている。新店のロゴをあしらった帽子は3990円、クッションは2300円、簡素な形のポーチは1400円と強気の価格設定だ。
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アパレルは靴下やタオル、パンツなど軽衣類を展開し、Tシャツや半ズボンなども販売している。靴下は400円台、タオルは700〜1100円。簡素なTシャツは1498円で、3990円のビッグシャツもある。ズボンは約2000円と3000円の商品を展開する。
各商品ともさまざまな色の商品を展開し、特に靴下は黄緑や赤など派手なものも多い。アパレルコーナーにはコーディネートを提案するサイネージのほか、試着室も設置している。
●早くも「観光地化」?
食品コーナーは既存店と同じく日配品やプライベートブランドの「ファミマル」を配置する。一方、498円で展開する新店専用のサンドイッチや200円台の水、2000円台のメロンや6000円台で販売するウイスキー「知多」など、高額商品も目立つ。
店外にはベンチがあり、ホットスナック売場を設けた。同社によると、中食は「都市部で働く・暮らす20〜40代」をターゲットとしているという。
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筆者が訪問した日は、観光目的とみられる外国人が多かった。とはいえ、店舗は東京タワーに近い場所にあるが観光客の動線上ではない。調べてみると、FAMIMAを紹介する外国人インフルエンサーのTikTok動画がいくつか10万再生を超えており、その影響を受けたとみられる。
オープン当初は整理券を配るほど人が集まったが、現在の日本人客の数は落ち着いている。外国人客を除くと、ビジネス街にある既存店と同じような客入りだ。
●新業態は、全国に広がるのか?
FAMIMAは多店舗展開できるのだろうか。現状では課題も多いと筆者は考えている。
今回の旗艦店は7月のオープン当初、24時間営業としていたが、現在では午前6時〜翌午前1時となっている。来店頻度につながりにくいアパレルやグッズを強化しており、夜間の集客に苦戦しているとみられる。安全性の問題から夜間に更衣室を開放することも難しいはずだ。また、一部商品が通常店より高いことを踏まえると、郊外や地方へ展開できる可能性は低い。
だが、アパレル店らしい商品の多様性や陳列方法、派手な内装は既存店に応用できる可能性がある。FAMIMAの衣類品売場はアパレル店のような内装だ。同社の狙い通りにワクワクする売場を横展開できれば、コンビニエンスウェアの購買意欲を高められる。現在、既存店の衣類は緊急時に買うような位置付けだが、楽しい売場にすることで目的買いの客が増えるかもしれない。
ファミマの成功にならうように、他社もアパレルに力を入れてきた。
セブン-イレブンはアパレル大手のアンドエスティと手を組み「niko and ...(ニコアンド)」や「LOWRYS FARM(ローリーズファーム)」のセブン限定商品を9月25日に発売。10月からはハローキティの限定商品を展開する。ローソンも2022年から無印良品の本格展開を始め、2024年以降はFREAK’S STORE(フリークス ストア)とのコラボ企画をたびたび実施してきた。
コンビニの非食品領域ではアパレル強化が潮流となっており、今回のFAMIMAもその一環と考えられる。FAMIMAで得たノウハウが通常のファミリーマートにも展開されるのか、今後に注目したい。
著者プロフィール:山口伸
経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。
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