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飲食店で、客が自分のスマートフォンで料理などを注文する「モバイルオーダー」、いわゆる“スマホ注文”が広がっている。一方で、注文を客のスマホに委ねながら、来店客向けのWi-Fiは用意していない店も少なくない。SNSでは「店の都合でスマホ注文にしているのに、なぜ客が通信を負担するのか」という不満が繰り返し拡散されている。
スマホ注文を採用する飲食店は多くがPOSレジ・決済端末を採用しており、そのためにインターネット回線を引いているはずだ。にもかかわらず、なぜ客用のWi-Fiが用意されないのか。費用か、回転率への懸念か──飲食店向けのWi-FiサービスやPOSレジ、モバイルオーダーサービスを展開するUSENに見解を尋ねてみた。
同社によれば、そもそも店舗側が客向けフリーWi-Fiの必要性や重要性を十分に認識していないこと、そして日本特有のとある事情が問題の根幹にあるという。
●「店舗向けシステムの売られ方」が良くない?
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背景にあるのは店舗向けシステムの売られ方だ。店舗用Wi-Fiサービスやモバイルオーダーサービス、POSレジなどをまとめて手掛けるUSENからすると、多くのモバイルオーダーやPOSレジベンダーは自社製品──つまりモバイルオーダーやPOSレジのみを店舗に提案しているように映るという。必然、業務用含む通信インフラはすでにある前提で営業活動が行われるため、店舗側もその重要性を認識しにくい環境がある、というのが同社の見立てだ。
同様の状況では、客用Wi-Fiを巡る懸念も解消されにくい。チェーン店ならまだしも、通信技術に詳しい人が多いわけではない中小規模の飲食店ならなおさらだ。例えば、本来は業務用と客用で負荷を振り分けられるにもかかわらず「業務用Wi-Fiを邪魔するのではないか」「オペレーションの妨げになるのでは」といった不安が解消されず、導入につながらないという。
とはいえ、実際に接客するとなると、顧客からの要望なども聞く機会も多いはずだ。しかし、ここにも日本特有の事情があり、店舗側がフリーWi-Fiを必要と感じにくくなっているという。
●日本のキャリアも優秀すぎた?
その事情とは、日本の大手通信キャリアの優秀さだ。USENによれば日本の携帯キャリアの回線は海外に比べ強く、また自治体なども回線の弱い場所を補うための公衆Wi-Fiスポットを展開していた。そのため店が自前でWi-Fiを用意しなくても、客は困らなかった。
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しかし昨今は5Gの普及などで回線が安定した結果、Wi-Fiスポットの提供が終了するケースも出てきた。この動向とスマホ注文の普及がぶつかった結果、過渡期の現象として「スマホ注文を採用しているのに、客用のフリーWi-Fiがない」問題が生じている……というのが同社の見立てだ。
●SNS頻出の疑問もぶつけてみた
SNSでは「Wi-Fiを提供すると客の回転率が下がる。店舗は客の入れ替えを早くしたいからWi-Fiを導入しないのでは」といった声も見られるが、USENは「業態による」と、一概には肯定しない。仮に長居したとしても、その間に何度も注文が発生する業態──例えば居酒屋などの場合は、むしろ長居してくれたほうがありがたいからだ。
そもそもスマホ注文自体、店員に声をかけるより気軽な注文を可能にすることで、客単価を上げる目的で導入されるケースもある。一概に回転率だけで語れるものではない、というのが同社の見解だ。
同様に「店の都合でスマホ注文にしているのだから、店に通信量分を請求できないのか」といったSNSの声にも「難しいのでは」と否定的だ。法的な論点の回答は控えたが「例えば店が客にコンセントを使わせるとき、その代金を請求していないのと同じ扱いになるのでは」(USEN)
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とはいえ、店側がフリーWi-Fiを用意しないこともリスクももちろんある。「事実として、フリーWi-Fiがないことに対する抗議の声はある。もしGoogleマップなどに書き込まれれば、もちろん消えない。われわれも(顧客への提案時に)その可能性は説明しており、それでもいらないと言うなら、ある程度リスクを許容してもらっている」(USEN)
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