世界初!半導体チップ化でリアルタイムの「画像鮮明化」が実現〜放送、インフラ監視、防衛など幅広い分野が関心〜【調査情報デジタル】

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2026年10月03日 08:32  TBS NEWS DIG

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AIを使わない独自の技術で画像の鮮明化や高解像度化を進めてきた「ロジック・アンド・デザイン」が、更なる鮮明化を実現する技術を世界で初めて半導体チップに搭載した。放送からインフラ監視、医療、防衛など幅広い分野への応用が期待されている。

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半導体チップ開発で画像鮮明化をより高性能に

ロジック・アンド・デザイン(本社・東京都新宿区)が開発したのは、15mm角の小型半導体チップに独自の画像鮮明化技術を搭載した「LISr-RISA®(以下、リサ・リサ)」。今年7月31日に東京都内で開かれた「“より視える化”セミナー2026」で初めて発表された。 

リサ・リサの技術は、画像を2次元の数値データとして捉えて、画素ごとの周辺情報からコントラストを最適化することで、画像を鮮明化するものだ。AIによる予測や補完などは行わず、その画像が元々持っているデータや信号を最大限利用して情報を引き出すことで、見えなかったものを見えるようにする。しかも、処理にかかる時間はわずか0.004秒で、リアルタイムでの鮮明化が可能だ。

ロジック・アンド・デザインでは、これまで画像鮮明化の技術をビデオデッキよりやや大きい専用装置で提供していた。専用装置をカメラや編集機器、パソコンなどにつなぐ方式で、この方法でも先進的な鮮明化を実現していたことは、以前の記事『ここまで来た!画像の「鮮明化&高解像度化技術」最前線〜テレビ局も熱い視線〜』で伝えた。

それが、今回半導体チップ化することによって、カメラのセンサーと直結できるようになり、さらなる高性能化と小型化を実現した。あわせて、ノイズ低減や解像度の復元、色彩補正、オートフォーカスなど、鮮明化以外の機能も一つのチップに搭載された。

会場にはリサ・リサに繋がったカメラが設置されていた。カメラの前で手の甲を撮影してみると、リサ・リサによって鮮明化された右側の画像では、皮膚の様子が肉眼で見るよりも細かく映し出されていた。 

インフラ監視では「異常」を画像から判断可能に

この画像鮮明化技術は、幅広い業界から注目を集めている。この日のセミナーには、電機・電子部品メーカーやカメラ・映像機器メーカーをはじめ、商社、情報通信・IT、ドローン・ロボティクス、放送・メディア業界など114の企業・団体の約200人が参加した。 

ロジック・アンド・デザインの佐藤公明代表取締役社長は「世界初の画像鮮明化アルゴリズム搭載半導体チップ、我々はLISr-RISA®(リサ・リサ)と呼んでいますけども、開発完了のお披露目の日を迎えることができました」と挨拶。「画像鮮明化の技術を小型カメラすべてに搭載したい。画像の世界でリサが入っているということを実現したい」と語ってきた夢を、コロナ禍や半導体不足などを乗り越え約10年かけて実現できたことを報告した。 

セミナーでは、リサ・リサの技術によって課題解決が実現する分野として、インフラ監視、生産工程の自動化を図るシステムの総称であるファクトリー・オートメーション(FA)での製品検査、自動車などのモビリティ、防衛、医療の5分野が紹介された。

このうち、橋やトンネル、港湾、鉄道などのインフラ監視では、事業者が求めているのは設備の安全性を高め、保守コストを下げ、人手不足を補うこと。そのためには異常を早く見つけることが必要になる。

例えば、橋脚を一般的なカメラで撮影すると、表面は滑らかであるかのように映る。

しかし同じ橋脚をリサ・リサ搭載のカメラで撮影すると、表面の状態が微細に映し出され、ひび割れや亀裂などの異常を画像から判断することが可能になった。

また、夜間や悪天候による視認性が低下した環境でも、従来ではあり得ない鮮明化を実現する。夜間にトンネルの壁面を魚眼レンズで撮影すると、通常のカメラではほとんど何も見えない。

それが、ドライブレコーダーなどを開発するユピテルが試作したリサ・リサ搭載のカメラでは、壁面の状態がしっかり映る。AIを使って状態を判断する際にも、鮮明化された映像があることでより正確な判断ができるようになる。

5分野の中でも、問い合わせが増えているのが防衛分野だ。防衛分野ではドローンの活用が重要度を増している。ドローンには大型レンズを積むことができないため、小型のレンズで静止画や動画を撮影しているものの、画質が犠牲になっていた。

加えて、悪条件下での撮影では、草木を人間と誤認識することも少なくなかった。それが、リサ・リサによってドローンの重量を増やすことなく鮮明な画像での確認が可能になり、誤認識も減った。それにより、防衛上の意思決定に必要な情報をより得やすくなった。

このほか、防災や防犯の分野でも、夜間や悪天候の状況下であっても現場の状況をより把握できるようになる。鮮明化した画像自体はAIによる生成や加工をしていないため、裁判資料としての採用が可能だという。

セミナーではドローンやドライブレコーダー、それに水中ロボットのメーカーも、リサ・リサを活用した製品の開発状況を説明した。会場には開発中の製品なども展示され、担当者が参加者の質問に答えていた。

画像鮮明化の価値は高画質や高感度だけではない

もちろん、映像技術はこれまでも大きく進化してきた。かつてのアナログテレビの標準画質だったSDから、地上デジタル放送以降のテレビ画質であるハイビジョン、さらにはフルハイビジョン、4K、8Kへと進化することで、表現できる色の数や画素数が格段に増え、高画質になった。

ただ、リサ・リサの技術は高画質や高感度だけを求めるものではないという。ロジック・アンド・デザインの北川彰専務取締役アカウント・マネジメント本部長は、画像鮮明化の価値を次のように説明した。

「5つの分野は用途も顧客も異なりますが、その判断を誤れば人命や不良品の流出、設備の事故などいずれも誤認識コストが高い分野です。各分野において画像に求められるのは、その分野におけるミッションを遂行する上で重要なポイントを正しく認識、判定、判断するためのベースとなる情報の提供です。つまり、リサ・リサや画像鮮明化アルゴリズムによってロジック・アンド・デザインが提供する本質的な価値とは、『判断品質』の向上を支援することになります」

画像鮮明化をリアルタイムで処理する技術を、低コストで導入できることもリサ・リサの特徴だ。ロジック・アンド・デザインでは今後、リサ・リサを半導体チップ単体や、チップと電源基板が2枚セットになった形態で販売するほか、事業者に必要な機能や回路を組み合わせたカスタム開発や、専用のシステム開発なども行うことにしている。

放送の分野でも、リサ・リサを中継カメラなどに活用することで、鮮明化した映像をリアルタイムで伝えることが可能になった。

現状では中継映像は伝送する際に圧縮されているため、若干の画質の劣化が起きている。それがカメラにリサ・リサが内蔵されることで、夜間の事件や事故、災害の現場などで、これまでは分からなかった現場の状況が、より詳細に分かるようになる。

“より視える化”を追求するロジック・アンド・デザインによる画像鮮明化は、国産の技術だ。世界で初めて開発された半導体チップが、画像の活用を大きく変えようとしている。

「調査情報デジタル」編集部

【調査情報デジタル】
1958年創刊のTBSの情報誌「調査情報」を引き継いだデジタル版のWebマガジン(TBSメディア総研発行)。テレビ、メディア等に関する多彩な論考と情報を掲載。原則、毎週土曜日午前中に2本程度の記事を公開・配信している。

このニュースに関するつぶやき

  • リサリサてネーミングから技術転用の細部まで好きだし尊敬しちゃった🙂
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