【コラム】 明日、無職になっても。映画「田中さんはラジオ体操をしない」

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2010年02月16日 18:32  よりミク

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よりミク

 不景気と言われるようになって幾年。就職氷河期、リストラ、給与カット……そんな言葉に何の驚きも覚えないほど、私たちは雇用不安の報道に慣れきっています。「ここから這い上がることは、もう出来ないのか」「死ぬまでずっと、生活に不安を抱えたままなのか」老いも若きも「安定」を求めて苦悶する日々。仕事、そして働くことの意味について思い悩む人も多いのではないでしょうか。
工場前で活動を行う田中さん
工場前で活動を行う田中さん
 「田中さんはラジオ体操をしない」この不思議なタイトルの映画は、田中哲朗さんという、元サラリーマンを追った作品です。田中さんは1969年に沖電気工業株式会社に入社、結婚・子の誕生と順調に人生を歩むも、会社が行った「自由時間におけるラジオ体操」を拒んだことから、マイナス査定を受けるように。1981年、転勤命令を拒否し、ついに解雇されてしまいます。以来、田中さんは毎日欠かさず、同社八王子工場の門前で抗議活動を続けているのです。28年間、ずっと。  映画は、長年に渡って「超人的な怒り」を保ち続けている田中さんに密着。彼を支える妻や息子、そして支援者たちへの取材を通して、アウトサイダーとして生きる田中さんの強靱な精神力や、エキセントリックな人柄を描きだします。
愛用するギターとともに街頭活動
愛用するギターとともに街頭活動
 支援者の一人、根津公子さんは公立中学校の元家庭科教師。卒業式の国歌斉唱でたびたび起立を拒否した根津さんは、減給や停職などの処分を受けてきました。二人に共通するのは、闘いへの飽くなき情熱です。彼らの主義主張の「正しさ」についてはさておき、己に絶対の自信を持って生きるその姿は、非常にユニーク。「現代の日本人は頑固でなさすぎる」と田中さんは言います。人はパンのみで生きるにあらず。安定だけを求め、信念を曲げて生きるのか? 働くということは雇用主に盲目的に仕えることなのか? 映画は75分で終わりを迎えますが、田中さんの闘いは今なお続いています。61歳の「反逆」に共感を覚えるや否や……あなたのジャッジは?(キキ/mixiニューススタッフ) ■「Tanaka-san Will Not Do Calisthenics田中さんはラジオ体操をしない」  マリー・デロフスキー監督 オーストラリア/2008/ビデオ/75分   山形国際ドキュメンタリー映画祭2009上映作品 ■「田中さんはラジオ体操をしない」が東京で初上映されます。  日時:2010年2月20日(土) 会場:ベルブホール  (ベルブ永山5F・京王・小田急線永山駅下車徒歩2分)   http://www.tamaeiga.org/modules/tinyd4/rewrite/tanaka/index.html

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