【コラム】 「ただいま それぞれの居場所」介護の現在を見つめる

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2010年05月12日 17:19  よりミク

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よりミク

■介護ビッグバンと介護職の「3K」  2000年の介護保険制度導入で、急激に拡大した介護市場。民間企業が相次ぎ参入、介護職を希望する若者も増え、介護業界のイメージは大きく変化しました。しかし一方で低賃金かつ重労働と働く環境は厳しく、「介護職は3K(キツイ、給料が安い、結婚できない)」と言われたほど。離職率が高いことも問題視されています。広告から受ける明るくクリーンな印象と、マスコミの作り出す「辛い・苦しい」というイメージには乖離があり、どちらもステレオタイプ。なかなか現場の息づかいは伝わってきません。 ■制度からこぼれ落ちる人々  映画「ただいま それぞれの居場所」は、施行から10年経った介護保険制度の光と影を見つめたドキュメンタリーです。高齢化社会にあって、多様化するニーズに対応すべく導入された介護保険制度。しかしサービスを必要とする人すべてをカバーすることは難しく、受け入れ困難などの理由で、制度からこぼれ落ちる人々がいるのも事実です。映画は、制度とあえて距離を置き、独自の介護を模索する4つの施設に密着。介護サービスを通して、互いの人生に関わりあい、深く繋がっていく人々の姿を描きます。
宅老所「井戸端げんき」利用者の千代さんは94歳
宅老所「井戸端げんき」利用者の千代さんは94歳
■「ただいま」それぞれの居場所を探して  夢と現実を混同し、スタッフを蹴りつけるおばあさん。ふとしたことで怒りのスイッチが入り、手を上げるおじいさん。叩かれても、噛みつかれても、気持ちを静めるのにどんなに時間が掛かっても、スタッフは拘束衣や薬に頼らず、根気よく利用者に付き添います。
利用者のはつさんと、スタッフの加藤さん
利用者のはつさんと、スタッフの加藤さん
 「なぜゆえに、私たちが私たちの価値観で、私たちの仕事だからって、その人の残りの人生を決めなくてはならないのか」  「一人一人に相応しい介護を見つけていきたい」  「苦手な人にもみんな同じように優しくしようとしなくていい。そのかわり情がわいた年寄りには徹底して優しくしなさいと。そのほうがみんな力を発揮する」  人間笑うこともあれば怒ることもある。利用者もスタッフも同じ人間だから、好き嫌いがあっていい。スタッフたちに共通するのは利用者と真正面から向き合い、「その人らしく生きること」を尊重しようとする姿勢です。
NPO法人「優人」を立ち上げた大川さんは28歳
NPO法人「優人」を立ち上げた大川さんは28歳
 仕事は決して楽ではありません。利用者との関わりの中で傷つくこともあります。それでも、彼らの笑顔から滲み出るのは、働く喜び、人と深く触れ合う喜びです。過酷な現実からこそ、希望は生まれる。その人らしく生きられる場所、「ただいま」と言える場所を目指して、彼らは今日も奮闘しています。誰もが迎える老い。命尽きるまでの最後の日々を、あなたはどんな場所で過ごしたいですか?(キキ/mixiニューススタッフ)
宅老所「いしいさん家」
宅老所「いしいさん家」
■映画「ただいま それぞれの居場所」http://tadaima2010.com/ 企画・製作・監督:大宮浩一/プロデューサー:安岡卓治  2010年/HD/日本/96分 ポレポレ東中野、第七藝術劇場にて公開中。ほか全国順次公開 ■画像(c)大宮映像製作所 ■出演 NPO法人「優人」 民間福祉施設「元気な亀さん」 有限会社 オールフォアワン 宅老所「いしいさん家」 NPO法人 井戸端介護 宅老所「井戸端げんき」 その他のよりミク記事: ・言いかけた言葉のその先に 映画「今、僕は」心臓を捧げて The Heart Of Jenin パレスチナの闇と光生き続けるわたしたちへ こうの史代「この世界の片隅に」

このニュースに関するつぶやき

  • 3Kどころじゃないでしょ。健康を害する(ストレスで) キチ◯イ利用者からの暴力も追加で
    • イイネ!2
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