地元大学に進学する人が多くなった理由は?

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2013年02月01日 12:10  スタディサプリ進路

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スタディサプリ進路

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旺文社教育情報センターが10月11日に公開した、「平成23年度 都道府県別 大学・短大進学状況」によると47都道府県中31都道府県で、地元にある大学が進学先のトップを占めた。 つまり、全体の6割を超える都道府県で、地元大学への進学者が多数を占め、地元志向が強い現状が読み取れる。なかでも「地元大学進学率」が高い上位5県は、愛知(72.8%)、北海道(69.4%)、福岡(63.7%)、東京(62.8%)、宮城(59.8%)。大都市があり、多数の大学がある都道府県が多いようだ。 地元大学への進学が増えている背景には何があるのだろうか? 「さまざまな要因がありますが、ひとつには少子化の影響です。子どもが1人か2人の家庭が多く、なるべく長く手元においておきたいと考える保護者が増えています。また全入時代に突入し、過酷な競争を避ける傾向もあります。頑張って人気大学や難関大学を目指すより、堅実で入りやすい地元大学を選ぶ傾向があるのです。もちろん、リーマンショック以降の経済的な問題もあるでしょう」と語るのは河合塾本郷校校舎長の箱崎恒さん。 「例えば理工系学部では、文科省調べによると、国公立大学と私立大学の学費を比べると、平均で年間50万円弱の差があり、4年間で200万円くらいの差がでます。現役で首都圏の私立大学に進学するよりも、1年間浪人してでも地元の国公立大学に進学するほうが経済的メリットがあるのです」と箱崎さんは解説する。 社団法人全国高等学校PTA連合会とリクルートの合同調査「第5回高校生と保護者の進路に関する意識調査2011 (http://souken.shingakunet.com/research/2010/07/post-7a54.html)」にも「地元志向」の一因が読み取れる。 進路を検討する際に重要だと思う情報としてあがった上位10項目の中で、保護者が高校生より10ポイント以上多かった項目は、「できるだけ国公立の学校に進学してほしい」(10.4%差)、「できるだけ地元の学校に進学してほしい」(11.7%差)の2項目だった。 自宅から通えない学校となると独り暮らしをすることになる。全国大学生活協同組合連合会が、毎年実施している「学生生活実態調査」によると、2011年度の自宅外通学者の仕送り額は平均月6万9780円にのぼる。保護者が払う学費と合わせると相当な金額になる。 地元志向にはいろいろな要因があるが、なかでも進学にかかる費用をおさえたい、という経済的な問題は大きいと言えそうだ。 しかし最近ではほとんどの大学が独自の奨学金制度を整備しているし、例えば早稲田大学の「都の西北奨学金 (http://www.waseda.jp/syogakukin/pdf/mezase-yoko.pdf )」のように、地方出身者に対象を限定した奨学金も出てきている。奨学金を積極的に利用し、お金の問題を解消するのも一つの手段だろう。 これから大学進学を目指す高校生には、政治や経済がどのように変化していくのか、将来どんな分野のニーズが高まるかなど、世の中に興味をもってほしい。そして自分が社会にどうかかわるかまで見据えた志望校選択をしてもらいたい。 本当にやりたいことのために地元以外への進学を決意したなら、保護者に相談し、必要なら奨学金を探すなどの対策をとって、夢を実現させてほしいものだ。

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