公立小学校が寒すぎる件 〜「子どもは風の子」は本当か?〜

1205

2013年02月13日 12:30  MAMApicks

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

MAMApicks

写真
現在、春から小学校で働くための研修を受けており、現場にも出かけている。

丸一日過ごしてみて思う。

「学校は寒い!ひたすら寒い!」

ひ弱なこと言うな、学校現場をなめてんのか、というご意見は少し横に置かせてほしい。
真剣に取り組んでいるからこそ、「親視点」「子ども視点」の素朴な疑問も投げさせてもらいたい。


スーツ姿で朝から夕方まで学校にいる。
校門前に立って、児童を出迎える。

他の先生たちは風を通さないジャージにハイネックのセーターorフリースという格好が多い。うらやましい。
こちらはスーツの下に140デニールのタイツにヒートテックを仕込み、カイロをべたべた貼ってもなお寒い。子どもは風の子……とは言っても、寒そうに身を縮めている子が目につく。

見学に行った学校は、「標準服」としてブレザーに短パン、女子はスカート姿だった。強制では無いもののほぼ全員が着用しており、登校時も上着を着ない。ブレザーの上にジャンパーやカーディガンを着るには「体調が悪い」理由を添えて、許可をもらわねばならない。

半ズボンやスカートの下にハイソックスを履き、ブレザーの下にセーターを着て、寒さをしのぐ。それでも、「ブレザーの下の重ね着」には限度がある。

給食では冷たいみかんを食べながら、ガタガタ震えている子どもが何人か。
授業中には手がかじかんで字が乱れている子も、数人いた。

学校にもよるが、教室では「10度C以下」にならないとストーブを点けない。ある小学校では、広い教室に小さなガスファンヒーターひとつだった。

保育園や幼稚園は比較的ぬくぬくなのに(各園の方針はあるだろうが)、小学校は寒い。
学習効率や体調管理の面で問題はないのだろうか?

何日も、小学校で震えて過ごしながら考えていた。

「寒さに耐える」ことの教育効果は?


「学校って寒いですよね」と先生たちにきく。
「でも、子どもたちは元気ですよ!」と返ってくる。
確かに、校庭を半袖半ズボンで飛び回っている子もいる。

学校の決算書を見ると、「無償で教育環境を提供する」厳しさを感じる。予算の中で、精一杯のやりくりがなされている。光熱費の割合は大きい。


学校関係者に、「小学校が寒すぎる件」について、質問してみる。

「自律神経の発達に寒さ暑さを感じるのは必要」
「ルールを崩して自由な上着を認めると、もう規律を戻せない」
「最近の子は甘やかされすぎ、寒さ暑さを乗り越えるのも教育」

建前は、「自律神経を鍛えるため」「規律重視」。
本音には、「(光熱費が無いので)公立小学校は寒くて当たり前」、そして「今までできていたのだから、これからもできて当たり前」の根性論がうっすらと感じられる。

教室を暖かくすれば、廊下に出た時や運動場の寒暖差で体調が狂いやすくなる可能性はある。暖かすぎれば頭がぼんやりするので、学習効率が落ちる。「寒い」のにも一理ある。

「自分で防寒」ができない理由


いや、一理あるにしても寒すぎる。
授業見学をしながら、廊下からのすきま風に、足をカタカタ踏みならしている子どもを見て思う。
せめて「自分で防寒」ぐらい許してもいいんじゃないか?

震えるほど寒いなら、授業中に上着を着て、ズボンを履いたり膝掛けをしたりして自分でコントロールする。カイロを持参してもいい。しかし、学校によってはそれらを認めていない。「申請すればいい」とは言っても、クラスのほとんどがしていないことを、子どもは言いづらい。

その一方で、「上着を自由」にすると、「家庭の負担が大きくなる」「格差が出る」「派手になる」との懸念もあるようだ。クレームを避けるためには、「今まで通り」を踏襲した方が安全である。


個人的には、「格差」を理由にするなら、「子どもの筆箱や中身が自由」である方が問題に思えた。

キャラクターのストラップのぶら下がった、派手なポーチ状の筆箱に無用のペンをどっさり入れている。中身がごちゃついているせいで、鉛筆一本探すにも時間がかかっている。気が散りやすくなるし、学習効率の面で行けば「筆箱が自由」な方がよっぽど問題だ。

それに、服装より文具の方が子どもの世界では価値がある。派手なもの、珍しいものを持ってくればトラブルの種になる。

それなのに、文具は問題になりにくい。


そうか、「学校の外に見えない」からかもしれない。校長が替わって子どもたちの服装が派手になる。地域の人から「だらしなくなった」と評判が立つ。……そんな理由だろうか? 学校のルールが、「子どものための最善策」より、「外からの評判」や「前例を守ること」を優先して作られていたら、悲しい。

数校見ただけでは、「小学校が寒すぎる」という疑問の納得解は出なかった。


「冬はまだマシですよ、夏は教室によっては40度C超すんですよねぇ」

全国的にも、エアコン導入がなされていない公立校は多い。「我が子がかわいそうなら私立に入れろ、みんな我慢してきた、タダはタダなりのことしかできない」と言われても仕方ない……のだろうか?

-----

ぜひ、全国の地域事情・海外事情も含めて、「公立小学校が寒すぎる/暑すぎる件」について、ご意見プリーズ!

※この記事へのTwitterのRTでご意見いただければ幸いです。


山口照美
塾講師、広報会社運営を経て2013年4月より大阪市の公募校長として小学校で着任予定。教育ライター・セミナー講師としても活動している。妻がメインの稼ぎ手、夫が家事育児の主軸を担う形で家庭マネジメントを乗り切り中。著書に『企画のネタ帳』『コピー力養成講座』など。長女5歳・長男0歳(2013年現在)

ランキングライフスタイル

前日のランキングへ

ニュース設定