新型出生前診断が開始 〜求められる遺伝カウンセリングの充実〜

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2013年04月05日 12:00  MAMApicks

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妊婦の血液から、胎児のダウン症などの染色体異常を調べる新型出生前診断が、いよいよ今月、全国15ヵ所の認定医療機関で始まった。


精度は高いが、腹部に針をさして羊水を採取するため、流産のリスクがある羊水検査と異なり、低リスクで高精度の結果が得られる新型診断には、高齢妊婦を中心に期待の声が高い。新聞やテレビは、制度実施初日となった4月1日、一斉に、昭和大学病院(東京都品川区)など、全国の認定医療機関で早速妊婦が続々と新型検査を受けたことを報道。全国的な関心の高さをうかがわせた。

一方で、安易な中絶や命の選択につながりかねないと、生命倫理上の問題を指摘する声も多く、慎重な運用はもちろん、国を挙げての議論が、引き続き必要となる。

検査の対象は、35歳以上の高齢妊婦や、超音波検査などで胎児に染色体異常が疑われる妊婦に限定されているが、検査を受けるかどうかの判断も、妊婦やその家族が慎重に行わなければいけない。費用も、約20万円と高額だ。


筆者が32歳で妊婦になった時住んでいたカリフォルニアは、全米でも珍しく、州政府が出生前診断(血清マーカーテスト=妊婦から少量の血液を採取するだけで染色体異常の確率が分かるが、精度は低く、妊婦の年齢が高ければ必然的に確率が高く出る仕組みになっている)についての公式パンフレットを作成し、妊婦に配ることが義務付けられている州。

もちろん、検査を受けるかどうかの最終的な判断は妊婦本人に委ねられるが、血清マーカーテストで胎児の染色体異常の確率が高く出れば、専門的な訓練を受けた遺伝カウンセラーによる丁寧なカウンセリングが行われ、羊水検査を受けるかどうかなどを、専門的な知識を得ながら考えることができるそうだ。

日本でも遺伝カウンセリングを充実させ、慎重にすすめる方針のようである。検査を受けるか受けないかの判断、検査の結果、障害の有無が判明した際の判断など、様々な判断を迫られる妊婦のケア、サポートのためには必要不可欠となるだろう。

新型出生前診断の実施医療機関は、日本医学会のホームページで確認できる。

日本医学会臨床部会運営委員会「遺伝子・健康・社会」検討委員会
http://jams.med.or.jp/rinshobukai_ghs/facilities.html


恩田 和(Nagomi Onda)
全国紙記者、アメリカ大学院留学、鉄道会社広報を経て、2010年に長女を出産。国内外の出産、育児、教育分野の取材を主に手掛ける。2012年5月より南アフリカのヨハネスブルグに在住。アフリカで子育て、取材活動を満喫します!

このニュースに関するつぶやき

  • 安易な中絶って何だよ。そんな簡単なもんじゃないだろ中絶って。軽率な性行為や、安易な出産の方が多そう。
    • イイネ!1
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