高齢妊娠・出産を経て、高齢育児中に考えるあれこれ

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2013年04月10日 12:30  MAMApicks

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「えっ?心配じゃなかったですか?」
次女を出産後、とある産後の母子が集う場で、初対面の、同じく最近次女を出産したという女性に不思議がられた。

彼女が疑問視したのは、私が羊水検査をしていなかったことである。私は39歳で長女を、44歳で次女を産んでいた。


偶然にも、その場に居合わせた母の多くが、35歳以上の高齢出産。40歳前後の人も複数いた。デリケートな話題ではあったが、お産そのものはすでに終えていたためか、「私は受けた」「受けなかった」と告白タイムに。羊水検査まではしていなくても、血清マーカーテストという血液検査を受けていた人も複数いた。

あれから約2年が過ぎ、この4月1日から新型の出生前診断がスタートしている。そのニュースを見聞きするたびに、冒頭の女性の言葉を思い出す。診断希望者にとっては、安全性が高いこの診断の開始は朗報であろう。

ともあれ、高齢での妊娠・出産には、それなりの覚悟というか、悩ましいことが伴う。

私の場合、長女のときも十分、高齢妊娠・出産だったのだが、次女を妊娠したときには、自分でもぶったまげた。生理が来なくなったのは、早目の更年期の始まりだ、とさえ思っていたほどだ。

産婦人科で「おめでとうございます!」と医師ににこやかに言われても、正直、喜びよりもとまどいのほうが大きかったのも事実である。

その後、自宅に帰るやいなや急いでPCを開き、「44歳 妊娠」と打ち込んだ。44歳で妊娠した人や出産した人がどれくらいいて、無事に生まれたのか、育っているのか知りたかったのだ。

そこそこヒットした結果を何度も読み返しながら、「うん、だいじょうぶ、だいじょうぶ。結構いるじゃない」と、自分に言い聞かせた。毎日、毎日、である。
しかし実母は、「冗談でしょ?あなた何歳だと思っているの?」とキツイ一言。
元小児科医だった義父は、ポツリと「まあ、血液検査はしておいたほうがいいだろうな」。

一方で、友人らからはおおいに激励された。
「高齢妊娠の星!」
「日本の少子化に一石を投じる快挙だ!」
「私にもまだチャンスがあると思えてうれしかった」などなど……。

そうした言葉に支えられ、なんとか妊娠期を楽しく過ごしつつあったが、産婦人科では、出産予約台帳(個人情報丸出し)に年齢を書き込むのも恥ずかしかった。30代はいても、40代は見当たらない。イケナイと思いつつ、前の3〜4ページをくくってみたりもしたが、そこにもいない。

妊婦検診の時に居合わせた助産師さんや看護師さんには、「44歳で出産した人っていますか?」と、毎回聞きまくった。返ってくる答えは、判を押したように、「まあ、いないことはないですよ」。

とにかく不安だったのである。お腹の子どもに対してもそうだが、自分自身の体力も心配だった。

私は高齢のうえ、長女を妊娠中、病気が見つかり子宮の入口を切除しているため、人より産道が短く早産の危険があると、「要注意妊婦」としてマークされていたのだった。だが結局、破水後に陣痛が来なくて、促進剤を打つハメに。早産どころではなかった。

そんなこんなでも、なんとか出産。「やりとげた感」に自己満足し、「40過ぎても大丈夫!」と周囲に豪語していたが、高齢で子を産んだ母にとっての試練は、ここからだった。

「育児に体力が追いつかない」というのは、ある程度覚悟していた。確かに肉体はツライが、「健康維持のため」と言い聞かせて、現在までなんとかやり過ごしている。

それよりも、今、痛感しているのは、親のサポートが受けにくいことである。これもある意味、当然のことで、親も私と同じように年齢を重ねる。つまり、長女のとき、何かとサポートしてもらえていたことが、今ではできにくい状態になっているのだ。

とくに私に「妊娠なんて、冗談でしょ」とクールに言い放った実母の衰えは激しく、初期の認知症になってしまい、世話を頼むどころか、こちらが世話をしなくてはならなくなった。もはや、カタコトで話す2歳の次女のほうが意思疎通がスムーズだ。

そして、「サポートしてもらえず困るな」という思いよりも、「子育てのあれこれを聞くことができない」という切ない思いがこみ上げてくるのであった。

加えて、長女の学習参考書や書籍などの、「保護者の方へ」と書いてある部分の文字が細かすぎて、老眼が始まった私にとっては、とても読みづらい、という問題も発生するようになった。

そんなふうに最近、高齢育児の負の面を感じるようになってはきたが、もちろんいい面もある。書き出してみよう。

友人の子どもからのお下がりがたくさんもらえる
子どもが孫みたいにかわいく思える
子どもの友だちに「おばあちゃん?」と言われないように、若々しくいるよう心がけるようになる
子どもが成人するまでは、何かとがんばろうと、人生に張り合いが出てくる

37歳で第一子を産んだバリバリの金融ウーマンの友人は、「こんなにかわいいのなら、もっと早く生んでおけばよかった」と目覚め(?)、その後、40歳、43歳でさらに子どもを出産した。

私の妊娠に対して、「尊敬するわ!」と半分呆れていた同年齢の友人も、その後46歳で3人目を助産院で出産。別の友人も45歳で待望の子を授かるなど、周囲で高齢出産者が増えてきた。

厚生労働省の統計でもその傾向は明らかだ。昭和60年(1985年)と平成21年(2009年)を比較すると、出生数全体は、約143万人から約107万人と減っているのに、35〜39歳は9万4千人から20万9千人へ、40〜44歳では8千人から3万1千人へと大きく増えている。
【参照】厚生労働省:出生数の年次推移,母の年齢(5歳階級)別
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai09/toukei3.html

……と、高齢妊娠・出産奨励のようになってしまったが、けっしておすすめしているわけではない。娘たちには「ほどほどの年齢で」と伝えたい。とはいえ、高齢妊娠を否定しているわけでもない。

「子は授かりものだから」
私が高齢妊娠に不安や恥ずかしさを感じていたとき、すでに孫がいる10歳年上のイトコ(男)のこの一言で、それらがふっと消えた。「産み時」は人それぞれでいいのである。


江頭紀子
調査会社で情報誌作成に携わった後、シンクタンクにて経営・経済に関する情報収集、コーディネートを行いつつ広報誌も作成。現在は経営、人材、ISOなど産業界のトピックを中心に、子育て、食生活、町歩きなどのテーマで執筆活動。世田谷区在住、8歳2歳の二女の母。

このニュースに関するつぶやき

  • これ以上日本にキ○ガイ産み落とすんじゃねぇ!!! ホントキ○ガイの親ってキ○ガイばっかだよな��ʥѡ���
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