わが子に“イラッ!”としない方法 〜「怒りスイッチ」はなぜ入るのか?〜

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2013年06月04日 10:10  MAMApicks

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「トイレ行かないってさっき言ったじゃない! だから言ったでしょ! 絶対こうなると思ってたから言ったのに! なんでよっ」

スイッチが入った。怒っている。これはもう完全に感情的だ。
トイレを借りたレンタルDVD屋の店員さんにも聞こえているかもなぁ……、ダメな親だと思われてるだろうなぁ〜、そこまで怒るようなことじゃないよねぇー、と頭の中は冷静だけれど、止まらない。



■きっかけはささいなこと


出かける前に確認したのに「おしっこ出ない」と頑なに言い張って、その10分後、店でトイレを借りることになった……ただ、それだけのことだ。

しかし、息子がまだ「全部脱いで」「座って」でないとトイレができない頃。その店のあまりきれいとは言えないトイレの狭いスペースで、幼児のズボンとパンツを床につかないようにうまいこと脱がせ、抱え上げて大人用洋式便座に座らせ、体を支えたまま用を足させ、また抱え下ろして全部履かせて……。

これは意外と大変な工程だ。


そして、
・「おしっこ出ない」と言い張っても、間もなくトイレに行きたくなる。
・この店にくると、なぜか、よくトイレに行く。
という2点がすでに完全に法則化していたから、出かける前に相当しつこく確認した。

それなのに、DVDを選びながら「おしっこ〜!」と平然と言ってのける息子に、「あぁっもうっ」となるのだ。

■果たして「怒りっぽい」だけなのか?


だからといって、イライラするほどのこと?と思う人もいるだろう。
私も、子どもがいなかった頃や息子が赤ちゃんの頃は、そんな人を見かければ、「なぜそこで怒る? 余裕のない親だなぁ〜、子どもなんだからしょうがないじゃん?」くらいに思っていた。

でも、息子の成長とともに、私自身にも子どもに対する「怒りスイッチ」のようなものがあると知ってしまってからは、なんだかそんな光景を見るとむしろ親にも子にも同情する。

お母さんには、「わかるなぁ、そのイライラ。でも、あとでどうせ反省するんだよね」。子どもには、「わかるよ、その怒り方はあまりに理不尽だよね、あなたはそれほど悪いことはしていない」。

別に、育児ストレスで怒りっぽくなっているとかそういうことではなく、あの「怒りスイッチ」には一定の法則がある気がするのだ。

■子どもは「予想通りのこと」をする


子育てをし始めると、何かと予測するのが習慣になる。
子どもの身の安全を確保するため、外出先でのトラブルや、周りへの迷惑を避けるために、先回りして、起こりうる事態のために準備をしたり、面倒を避ける策を講じる。

そして、子どもと四六時中一緒にいたら、自分の子の行動パターンは見えて来る。やりそうなことはたいてい予測できる。意外と子どもは「予想外のことをする」より、「予想通りのことをする」ことの方が多いのだ。

【「予想通り」「やっぱり」「忠告したのに」見事にやってしまう子ども】+【「こうなるとわかっていたけれど防げない」自分】……このシチュエーションこそが一番イライラを増幅させる。不思議と「怒りスイッチ」が入りやすいのだ。

思いがけない予想もしなかったことをやられた時というのは、純粋に驚き慌てて対処するから、困ることはあっても、イライラしている暇はない。深刻なことでなければ、むしろその意外性に関心したりもできてしまう。

■予測しすぎず千本ノックの気持ちで


よし、ならば、予測をやめてみるか。

「トイレ大丈夫?」としつこく聞く代わりに、「トイレ行きたくなったらすぐ言ってね」。トイレは探せばいい。汚したら着替えさせればいい。話す前に「どうせこう言うだろうな……」といくつものストーリーを想定せずに、「何て言うかな」とシンプルに反応を見る。

うん、調子は悪くない。練りに練った作戦で無駄な動きを避けようとするよりも、反射神経で千本ノックを受けるような気持ちでいた方が、意外とイライラしないでいられる。

しかしそれも束の間。作戦を練らないこと、予測する習慣をやめること自体が、そもそもとても難しい。日々の積み重ねで、いつものパターンがもう自分の体にしみついていて、つい予測してしまうのだ。

ささいなことで「怒りスイッチ」が入ってしまうのは、母親であることが多い。これは男女の性質差によるものではなく、母親の方が、子の「パターン」や「法則」に父親よりも圧倒的に長くさらされているからなのだと思う。

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夫が、おむつを卒業して間もない息子を連れて出かけた帰り、電車で膝の上におしっこをもらさたことがあった。男子二人、微妙な場所がぬれた状態で帰宅し、
「いやぁびっくりしたぁ〜!」。

……そのひと言で済む、夫の感覚がうらやましかった。
そのシンプルな感覚が欲しい。できれば見習いたい。


「だから言ったでしょ!」あぁ、今朝も言ったなぁ。
頭をからっぽに、作戦無しの千本ノック。子育ては、深く考えずに反射神経と瞬発力で応じた方がいいことも多いのかもしれない。まずは体力作りからかな……。


狩野さやか
ウェブデザイナー、イラストレーター。企業や個人のサイト制作を幅広く手がける。子育てがきっかけで、子どもの発達や技能の獲得について強い興味を持ち、活動の場を広げつつある。2006年生まれの息子と夫の3人家族で東京に暮らす。リトミック研究センター認定指導者。

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