「私立文系」志望でも理系の勉強が必要な理由

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2013年06月19日 12:30  スタディサプリ進路

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スタディサプリ進路

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日本の高校では進路に合わせて、1年生の段階で文理選択をするケースが多い。特に私立大学志望の場合、2年生以降は、文系なら数学・物理・化学、理系なら国語・地理歴史・公民などの科目は選択しないか、受験科目ではないのであまり力を入れて勉強しないといったことになりがちだ。 大学受験だけを意識するならそのほうが効率がいいのは確か。しかし、高校の早い時期に文理選択をすることに関しては反対意見もあるのだ。今、自民党は教育再生実行本部を設け、さまざまな教育改革に関する議論を進めているが、その過程では、「私立文系の大学入試にも理系の試験科目を課すべき」という提案も出てきた。 では、高校の段階で勉強内容が文理どちらかに偏ってしまうことにどんな問題があるのだろうか。東北大学大学院 教育情報学研究部・教育部の倉元直樹准教授はこのように話す。 「高校で文理選択をすると、文系の生徒は理系のことはわからないし、理系の学生は文系のことはわからないという状態で大学に進学することになります。しかし、世の中のさまざまな問題は決して文理別に整理されているわけではありません。大学の勉強でも双方の知識が必要になることが多いのです」 例えば、経済学を学ぶには数学の知識は必須。文学部でも、言語学を学ぶなら数理モデルを使った解析が必要な分野もある。このほか社会学や心理学には統計学が用いられる。また、文系・理系が融合したタイプの学部も少なくない。看護学、環境学などは文理それぞれのアプローチが必要な分野だし、最近は、教養学部、総合科学部といった文理の枠を設けない学部も増えてきている。 ただし、私立大学の入試では、入学後の学習で基礎として必要となる科目がすべて課されるわけではないのがポイント。理系学部でも、理系の入試科目数が少ないところなら文系コースからのチャレンジも可能だ。入れることは入れる。しかし、主要な科目の基礎が身についていないと、入ったあとでついていけなくなってしまう。 「問題は、その時になってみないと何が必要になるかがわからないということです。大学での勉強の内容を知らない高校の段階で“この科目が必要ないかどうか”を判断するのは難しいと思います」(倉元准教授) だから、高校ではできる範囲で幅広い科目を学んでおくのが理想的だという意見も多い。特に理系の科目は、基礎を高校でやっておかないと、後から学ぶのはなかなか大変。「数学は苦手」「生物はキライ」と簡単に切り捨ててしまうと後々苦労することになるかも…。

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  • 少なくとも卒業論文くらいは必修科目にしましょう。本当は文系の方が大変だよ。卒業してからが。
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