【ギャップイヤー体験談】大学入学前に3ヵ月間自転車で日本一周

0

2013年07月11日 11:50  スタディサプリ進路

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

スタディサプリ進路

写真
大学入学前や在学中、親元や学校を離れて自分で立てた目標や計画に基づき国内外でのインターンシップ、ボランティア活動などを行うギャップイヤー。欧米で浸透している慣習・制度だが、日本でも東京大学が今年度から入学直後の1年間、社会体験のための休学を認める「初年次長期自主活動プログラム(FLYプログラム)」をスタートさせたほか、国際教養大学や名古屋商科大学が導入している。 “人生の寄り道”ともいわれるギャップイヤーだが、その経験から何が得られるのだろうか。経験者である国際教養大学2年の安田佑介さんに聞いた。 国際教養大学の「ギャップイヤー入試」(9月入学)合格者は、高校卒業後、9月の入学までの期間、出願時に提出した計画に基づくギャップイヤー活動を行うことが義務付けられている。受験生時代、自分が日本についてよく知らないことに気づいた安田さん。「日本の現状を自分の目で見て回りたい」と考えていたところに、この入試を知って受験。半年間のギャップイヤーを手にした。 安田さんが計画したギャップイヤーの過ごし方は、日本一周自転車旅行だ。昨年の3月の終わりから7月の半ばまでの3カ月強の間、東京の自宅から出発して北は北海道、南は沖縄まで自転車で一人旅をした。1日100〜150kmを自転車で走り、宿は一般の宿泊施設を利用するほか、「カウチサーフィン」や「ウォームシャワー」といったインターネット上の無料サービスを使って泊めてくれる人を探したという。 「これらは英語のサイトなので、英語で交渉して宿を見つける必要があります。また、登録者は外国人が多く、外国人の家に泊めてもらうことが結構ありました。想定外でしたが、日本にいながら英語の勉強ができました」(安田さん、以下同) 旅の途中では、数多くの寄り道も。例えば、捕鯨で有名な和歌山県太地町。同町が海外の反捕鯨団体から激しく批判を受けていたことをテレビで見た安田さんは、その現場を自分の目で見てみたいと思い足を延ばした。 「反捕鯨団体の人には会えませんでしたが、ところどころにある英語で書かれた『立ち入り禁止』や『撮影禁止』の看板が生々しかったです。事前に太地町やクジラ漁に関する情報は得ていましたが、実際に町の人と話し、伝統的にクジラ漁に頼ってきた町の営みに触れ、一概に捕鯨を否定できないなと考えさせられました」 このほか、ガイドブックに載るような有名な場所だけでなく、地元の人たちから聞いた名所も訪問。このように全国を回る中、都市間の地域差や高齢者の多さなどを肌で感じ、社会問題に興味が高まったという。 「ぼくは内向きな性格。この旅を通じて社交的になりたくて、見知らぬ人にも積極的に話すように心がけていました。旅を全うすることができたのも、各地で色々な方に支えられたから。次は自分が誰かを支える側になってお返しをしたいです」 自宅に到着し、旅を終えた日、安田さんはfacebookに次のようなコメントを残している。 ――このギャップイヤー活動は(中略)僕にとって決して回り道ではありません、むしろ近道です。3ヵ月でこんなに沢山のことを経験できたということは一生の財産です。しかし、この財産をこれからの大学生活そして社会に出たときに役立てなければ何の意味もありません。ここからがもっと重要なのです。(中略)やっと9月から学生になります。本当に長かった。楽しみだ。―― 安田さんに、「4月入学の学生に後れをとった」という意識はあまりない。むしろ自信をもって行動しているようにみえる。今まで学校で委員長やリーダーの経験がほとんどなかったが、今年度の大学祭の実行委員長に立候補。学生の投票により見事当選。「自分が一番びっくりしている」と、現在は大学祭の準備に奔走している。 これまで勉強に部活にと忙しく走り続けている高校生も、ギャップイヤーのように、一度立ち止まって自分や社会を見つめ直す時間があってもいいのかもしれない。

    前日のランキングへ

    ニュース設定