【何のために働くの!?】日本はアジアの中でも特殊?

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2013年08月06日 15:10  スタディサプリ進路

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スタディサプリ進路

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2012年、日本を含めたアジア8カ国で、大学卒業後社会人として働いている20〜30代を対象に、これまでの働き方や、これからの望ましい働き方などの価値観についての大規模な調査が行われた。 それによると、近い将来、グローバル化が進む世の中で働くことになるであろう高校生にとっても、無関心ではいられないさまざまな事実がみえてきた。 今回、特に注目したいのは日本のユニークさ。多くの調査項目で、日本だけが他国と違うことがはっきりとわかった。なかでも注目される2つの調査結果を紹介しよう。 ■仕事をするうえで大切だと思うもの(最大3つまで選択可) ・中国… 1位「高い賃金・充実した福利厚生」79.0%、2位「明確なキャリアパス」50.4% ・韓国… 1位「高い賃金・充実した福利厚生」75.1%、2位「適切な勤務時間・休日」50.2% ・インド… 1位「高い賃金・充実した福利厚生」58.8%、2位「雇用の安定性」37.9% ・タイ… 1位「高い賃金・充実した福利厚生」72.5%、2位「雇用の安定性」47.3% ・マレーシア… 1位「高い賃金・充実した福利厚生」78.8%、2位「雇用の安定性」37.4% ・インドネシア… 1位「高い賃金・充実した福利厚生」83.1%、2位「明確なキャリアパス」38.8% ・ベトナム… 1位「高い賃金・充実した福利厚生」78.5%、2位「教育研修の機会」44.4% ・日本… 1位「良好な職場の人間関係」56.0%、2位「自分の希望する仕事内容」51.3% ここでは日本を除くすべての国で「高い賃金・充実した福利厚生」が1位だった。日本では1位は「良好な職場の人間関係」、2位が「自分の希望する仕事内容」、3位は「適切な勤務時間・休日」(49.0%)で、他国で1位だった「高い賃金・福利厚生」は39.0%で4位だった。 ■卒業後初めて就いた仕事を退職した理由 ・中国… 1位「賃金への不満」31.1%、2位「会社の将来性や雇用安定性への不安」19.8% ・韓国… 1位「労働条件や勤務地への不満」16.0%、2位「賃金への不満」「会社の将来性や雇用安定性への不安」14.8%(同率) ・インド… 1位「賃金への不満」37.1%、2位「労働条件や勤務地への不満」16.3% ・タイ… 1位「賃金への不満」33.2%、2位「労働条件や勤務地への不満」13.7% ・マレーシア… 1位「賃金への不満」29.1%、2位「労働条件や勤務地への不満」16.1% ・インドネシア… 1位「賃金への不満」31.7%、2位「労働条件や勤務地への不満」20.0% ・ベトナム… 1位「賃金への不満」29.3%、2位「労働条件や勤務地への不満」23.7% ・日本… 1位「労働条件や勤務地への不満」16.7%、2位「仕事内容への不満」12.9% ここでは日本を除くすべての国で「賃金への不満」が大きな退職理由だった。日本では「賃金の不満」で退職したのはたった5.1%で、8位に過ぎなかった。 今回の調査を担当したリクルートワークス研究所研究員の萩原牧子さんは、この結果をこう分析する。 「日本では大学を卒業して最初に入った会社に育ててもらうという意識が強くあります。一方、他のアジア諸国では、大学で学んだことが仕事に直結するケースが多いのです。会社に入るというより、仕事に就くという意識が強く、今の会社で認められなければ、もっと自分を評価してもらえる別の会社に転職すればいいという考え方が一般的です」 仕事をするうえでも、転職の理由としても、他のアジア諸国は「賃金」が重視されているが、日本だけが例外だ。これにも理由があるという。 「日本では、入社初期から若手社員の賃金が高いのが特色。社会人になると、学生でアルバイトをしていたときより、急に大きい賃金をもらって、びっくりする人も多いようです。そして、勤続年数が長くなると昇給するという年功序列制度も根強く残っています。 一方で、他国では、若手社員は能力に応じて、とても低い賃金からスタートします。さらに、仕事に応じて昇給しますから、同じ仕事を続けている限り、何年勤めても同じ賃金のままであることが多い。賃金を上げようと思ったら、自身の能力をもっと評価してくれるところ、もっと幅の広い仕事をさせてくれるところに転職することになります。このような雇用環境の違いをみれば、今回のような結果がでるのは当然といえるでしょう」 進路決定時期についても、日本は異色だった。中学卒業以前、高校時代、大学の前期、大学の後期、大学卒業後と5つの選択肢から「進路を決めたのはいつか?」を選んでもらったところ、日本では『大学後期』が66.3%を占めて最多。いわゆる就職活動の時期に進路を一気に決めるのが普通なのだ。そして大学卒業時の就職内定率も8割を超え、他国と比べて高い水準で安定している。 「この状況は一見、恵まれているようにみえるかもしれませんが、例外を認めない排他的な面もあります。日本の大学生は新卒採用時のタイミングで内定をとれなければ、その後はもっと就職先をみつけることが難しくなる。だから、とにかく内定を得ようと、あまり考えずにさまざまな業種、たくさんの企業を受験し、就職活動でくたくたになっている。それは日本の特殊な雇用システムの弊害ではないでしょうか?私としては日本独特の進路決定の流れから一歩引いて冷静になるためにも、高校生のうちに一度はじっくり進路のことを考える時間を持ってほしいと思います」 また萩原さんは高校生に対して、こうもアドバイスしてくれた。 「今回の調査で、日本だけが変わっているのだ、という認識をもったほうがいいとしみじみ思いました。日本にいるとそのことになかなか気づけません。今の高校生が社会人になるころには、アジア各国の人たちと一緒に仕事をする機会はきっと増えています。日本と他国の違いを知るためにも、若いうちからアジアの新興国をはじめ、海外の人たちと接する機会を増やし、そこに暮らす人の暮らしや価値観を肌で感じる機会をたくさんもってほしいですね」 ※データ出典「Global Career Survey」リクルートワークス研究所

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