アレキサンダー大王も憧れた 奇人哲学者の"空気を読まない"生き方

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2013年10月28日 14:41  BOOK STAND

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普段、何気なく使っている言葉「シニカル」。「皮肉っぽい態度をとるさま。冷笑的。また、他人の価値観や考え方に対してばかにしたようなさま」という意味を持つ言葉です。

書籍『現代人の悩みをすっきり解消する哲学図鑑』によれば、このシニカルという言葉の由来は、しきたりに縛られない自由な生き方をした哲学者・ディオゲネス(前400年頃〜前320年頃)らの学派名「キニコス」からきているとされています。

哲学とは、そもそもは「真理を求め続ける生き方」のこと。ソクラテスやアリストテレスなどの有名な哲学者が多々いますが、なかでも「奇人」とも呼ばれるディオゲネスは、欲望に惑わされない生き方を徹底しました。

禁欲的な生活を徹底していたディオゲネスは、清貧な暮らしぶりのために、時として奴隷として売られることもありました。ある日、「おまえはなにができるのだ?」と問われた際に、「おまえの主人になら、なれる」と返したところ、物好きな金持ちに拾われるといったこともあったそうです。しかし、結局は、本当にいばってばかりいたので解放されたと言います。

他にも逸話にこと欠きません。街の彫刻に向かって「なにかよこせ」と要求していたディオゲネス。周囲の人に「なぜ、そんなことをしているのか?」と尋ねられたそうです。ディオゲネスの答えは、「無視されるのに慣れる」ため。他人から認められることを求める「承認欲求」さえも、排除しようと努めたのです。

ある時に、当時の最高権力者・アレキサンダー大王がディオゲネスの前に立ち、「お前の望みはなんだ?」と問いただした時のこと。こともあろうかディオゲネスは、絶対的な権力者に対し、「あんたがそこに立っていると陽射しが遮られるのでどいてくれるのが望みだ」と返したという逸話が残っています。

そのアレキサンダー大王は、「もし、自分が大王でなければディオゲネスになりたい」という言葉を残しました。空気が読めない変わり者と揶揄されることもありましたが、欲望、そして権力に惑わされない生き方を徹底したディオゲネス。あえて空気を読まず、しきたりやしがらみに縛られなかった生き方に、現代人も学べることは多いのかもしれません。



『現代人の悩みをすっきり解消する哲学図鑑: 恋愛やビジネスから人生観まで役立つ』
著者:大城 信哉
出版社:誠文堂新光社
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