動画サイトで人気の「ゲーム実況」 法律的に気をつけるべき点は?

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2014年01月17日 12:20  弁護士ドットコム

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ニコニコ動画やYouTubeなどの動画サイトで人気を集めているジャンルに「ゲーム実況」がある。自分の好きなゲームをプレイしながら、その映像をネットで配信するというものだ。


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動画の配信者がゲームにあわせて話をするスタイルが一般的で、ゲームの攻略法などのトークをからめて、自分のゲームプレイを「実況」するのだ。なかには、人気のゲーム実況者として注目を集める配信者もいる。



このような「ゲーム実況」の動画は、プレイしている本人や見ている視聴者にとっては楽しいものだが、ゲームの制作会社から見たら、どうなのだろうか。制作会社の許諾をとらずに、ゲームの画面を配信することは、法律的に何か問題がないのだろうか。著作権にくわしい藤田晶子弁護士に聞いた。



●ゲーム映像は「著作権法」で保護されている


「ゲーム画面の映像・音声による表現は、伝統的な『劇場用映画』とはかなり趣が異なりますが、著作権法上は『映画の著作物』として扱われ、保護されています(著作権法10条1項7号、法2条3項)。



このことは、裁判でも『NEO・GEO』事件(大阪高裁平成10年12月21日判決)や、『ときめきメモリアル』事件(最高裁平成13年2月13日判決)、『DEAD OR ALIVE 』事件(東京高裁平成16年3月31日判決)等々の判例が認めています。



ゲーム中の画面をパソコンに取り込むなど、『ゲーム実況』動画を作る方法は様々のようですが、ゲーム画面を録画・撮影する行為は、『映画の著作物』の『複製』に当たり、著作権者の許諾を受けずに行うと著作権侵害になります(著作権法第21条)」



個人が趣味の範囲内でやっていてもダメなのだろうか?



「個人が家庭内で趣味のゲーム実況動画を作成することは、それが『私的複製』の範囲内であれば、著作権侵害にはなりません(著作権法第30条1項)。



ただし、それが『私的複製』と認められるためには、それを個人的に自ら使用すること、または家庭内その他これに準ずる限られた範囲内(たとえば、緊密な人間関係のある10人程度の少数グループなど)で使用するという主観的な『目的』が必要です。



動画投稿サイトに実況をアップして不特定多数のゲーム愛好者等に閲覧させる目的の場合はこれに該当しませんので、著作権侵害となるでしょう」



●著作権を意識しない「安易な投稿」が目立つ


「作成した実況動画を動画投稿サイトにアップロードして、公衆が閲覧できるようにすれば、『公衆送信権』の侵害となります(著作権法第23条)。



また、著作者は、著作物を公衆に提示する際に名前を出すかどうか決める『氏名表示権』(著作権法第19条)を有していますので、氏名表示の有無が問題となる可能性もあります。



さらに、実況動画が編集され、ゲーム画面に手を加えられていたり、ゲームストーリーが編集されていたり、一時期流行したパラメータ改変ツール等で通常ではあり得ない状況が作りだされていたりすれば、著作権者の『意に反する改変』として、『同一性保持権』(著作権法第20条)侵害を主張される可能性もあるでしょう」



ゲームの実況配信をするためには、著作権に十分配慮する必要があると言えそうだ。



「最近流行の『ゲーム実況』動画の作成・アップロードは、権利者からの了解を得ない限り、理論的・法律的には大いに著作権侵害が問題となりうる行為です。そのことを意識していない安易な投稿が多数見受けられます」



藤田弁護士はこのように指摘する。しかし、現実的にはゲーム実況は多数行われ、文句を言われていないケースも多いようだが……?



「ゲームメーカー・権利者側がこれまで目立った権利主張をせず、多くの動画に暗黙の了解をしてきたのは、現実的に、愛好者等による『ゲーム実況』に、一定の商品の宣伝・プロモーション効果があるからです。



そうした経緯もあって、現状のように投稿数が増加していったのでしょう。ただし、先ほど述べたとおり、理論的には問題のある行為であることに変わりはありません」



ユーザー側としては、どんな点に気をつければいいのだろうか。藤田弁護士は次のように述べ、注意を呼びかけていた。



「最近は、たとえば、ゲームストーリーのネタバレや謎解きを故意に明かすもの、有料ツールの販売を阻害するもの、公式発売前の動画アップなど、著作権者側が看過できない事例も増えてきているようです。



そうしたケースでは、動画削除を申し立てたり、メーカーによってはすべての動画投稿を禁止にして損害賠償請求や刑事告訴を検討しているところもあるということです。また、それとは逆に、投稿者がメーカーなどの『公認』を取り、問題なくアップしている場合もあるようです。



ユーザー側としては著作権者側から思わぬ警告を受ける前に、ゲームの規約を確認したり、メーカー側に動画投稿に関するスタンスの問い合わせをするなど、慎重な対応が必要です」


(弁護士ドットコム トピックス)



【取材協力弁護士】
藤田 晶子(ふじた・あきこ)弁護士
著作権・特許・商標・不正競争等の知的財産関係訴訟、インターネット関連法分野の紛争処理・相談業務を得意分野とする他、一般企業法務、成年後見人・未成年後見人業務等にも携わっている。日弁連・知的財産センター委員、日本弁理士会・能力担保研修講師
事務所名:あさひ法律事務所
事務所URL:http://www.alo.jp/index.html



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  • エリーのアトリエで「Lv7うに」を作成するプレー動画なら作った事がある。実際にやった人じゃないとあの意味不明さは分からんと思う。
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