一般企業と何が違う?NPO法人のメリット

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2014年01月30日 15:10  JIJICO

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「NPO法人は儲けてはいけない」は誤解


NPO法人(正式には、特定非営利活動法人)と株式会社などの営利企業との一番の違いは、NPO法人は「非営利の団体である」ということです。ただ、ここは誤解が多いのですが、「非営利」というのは、「儲けてはいけない」という意味ではありません。活動を継続するにはお金がかかります。会費や寄附金、補助金などではまかなえない場合は、事業収入でまかなう必要があります。例えば有料の講演会を開催するなどして、その利益を法人の他の運営経費に充てるといったことは可能です。


利益を分配しないというのが、非営利の定義です。株式会社は株主からお金を集めて、儲かったら、それを株主配当という形で株主に還元しますが、NPO法人はそういうことができません。では、決算を迎えて残ったお金はどうなるかというと、全額が翌年の事業に繰り越されます。


行政と関わって事業展開をしたいなら、NPO法人がオススメ


福祉分野など地域に根差したサービスを実施する場合などは、NPO法人の持つイメージがプラスに働くことが多いでしょう。特に行政と関わって事業展開をしたいなら、NPO法人の方がオススメです。今、「協働」という注目のキーワードがあります。国や地方自治体は、従来の行政の枠組みでは対応できなくなってきた様々な社会的な課題に対して、民間の力を活用して解決を図ることに積極的に取り組んでいます。行政のパートナーとしては、もちろん一般企業も挙げられますが、新しい公共を担う存在としてNPO法人に対する期待はとても大きいものがあります。


税制面でのメリットがあり、設立の費用が安いのも魅力


税制面でのメリットもあります。法人税は株式会社の場合は全ての所得に対してかかりますが、NPO法人は、物品販売など収益事業と呼ばれる法人税法で規定されている34種類の事業のみにかかります。例えば、環境問題に関する講演会の収益は34種類の事業の付随事業でない限りは、法人税の対象外になります。また、寄付や補助金、会費なども原則非課税です。


設立の費用が安いのも魅力の一つです。株式会社は最低の資本金の制度はなくなったものの、定款の認証や法務局の登記など事務手続きの際に20万円以上は必要になりますが、NPO法人の場合は、設立にあたって、そうした費用を支払うことはありません。NPO法人を作るには、事務所の存在する場所により、都道府県または政令市が担当の窓口になります。都道府県によっては、政令市でない市町村にも事務を委託していることなどがありますので、事前に確認してください。


NPO法人設立までの期間は、概ね3〜4か月


書類が窓口に受理されてから、「縦覧」といって定款、設立趣旨書、事業計画・予算などの書類を一般に公開する期間が2か月間あり、その後2か月以内に審査が実施され認証・不認証が決定されます。設立までの期間は、申請先の状況によりますが、認証まで概ね3〜4か月はかかります。申請書類は11種類もありますが、窓口で記載例などの解説が載った手引書がもらえるので、それを参考にしてください。手引書や申請書類の様式はホームページでも公開されています。また窓口で事前相談も受付けていますので、これも利用するのも良いでしょう。無事に認証されたら、今度は法務局へ登記が必要です。登記の申請書を提出した日がNPO法人の設立日となります。



(堀之内 卓・行政書士)

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