近年、「全国学力テスト結果の公表」について活発に議論されています。「全国学力テスト」とは、「文部科学省」が年に1度行う「学力調査試験」のことで、対象は小学6年生と中学3年生。試験教科は算数・数学と国語(基礎知識のA問題と知識を活用する力を問うB問題で構成)。学力低下が指摘されたことをきっかけに2007年度からスタートし、今年で7回目になります。毎回、この「学力テスト」の結果を「公表すべきかどうか?」について、議論が巻き起こっています。
全国学力テストは、1960年代にも実施されていましたが、学校や地域間の競争・序列化が過熱したことで廃止されました。そのため、今回も成績を公表すれば「以前のように過度な競争と序列化につながる」といった意見は根強いようです。
しかし、一方で「学力向上への健全な競争心まで一律に否定される必要はない」として、自治体の判断で学校の成績を公表した市町村や県では、必ずしも「過度な競争」は起きていないという声もあります。
これらを踏まえ、文部科学省は2013年11月29日付で、2014年からは「区市町村教育委員会の判断で学校別成績を公表できるようにする」とし、学校ごとの序列を生むと懸念されている「学校名を明らかにすること」については、「明らかにする場合は、年ごとの改善状況や具体的な取り組み、教委としての支援策もともに公表すること」として、教育上の効果や影響に配慮することを求めています。
学力テスト公表の議論において、重要な点が抜け落ちているように感じます。そもそも、学力テストの目的は「状況の把握」だけではないはずです。今、その把握による影響ばかりが論じられていますが、大切なのは「それを把握した後に、どう対策を取り、改善していくか?」いう点であり、生徒たちにとってはそれが最も重要なことです。
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しかし、議論は「学力テストを公表する・しない」に留まっているように感じます。学校ごとのレベルの発表についても、それ自体が重要なのではなく「だからどう対策していくのか?」という方針や制度を具体的にし、すばやく対策にうつるということが大切です。 それらをしっかりと抱き合わせて発表していければ「単なる序列化は免れるのでは?」と思います。さらにその「対策」を学校ごとに共有化していくことで、全体としてより良い教育につながっていくのではないでしょうか?
結果を見て、今後の対応策を検討しフォローしていくことは、生徒たちの成長につながるはずです。今一度、原点に戻り「本当に成長するとは何か?」を捉えなおすことを期待します。
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