プレゼンで効果的「小泉流ワンイシュー戦法」

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2014年01月31日 14:40  JIJICO

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聴衆の関心を一極集中させ支持を集める小泉純一郎元首相の話術


東京都知事選の応援演説で、久しぶりに政治の場に姿を現した小泉純一郎元首相。その言葉に注目が集まっています。小泉節の特徴は、一つの課題に焦点を絞って是非を問う「ワンイシュー戦法」。首相時代も「自民党をぶっ壊す」「構造改革なくして成長なし」「改革の本丸は郵政民営化」など、わかりやすくインパクトのある言葉を効果的に用いて、選挙の争点、国民の関心を一極集中させ、支持を集めてきました。


このたびの応援演説でも、「課題は原発だけではない、もちろん、そうです。課題はたくさんある」と逆説的な表現でひきつけて、「しかし(中略)最も大きな違いは原発をどうするかじゃないんですか」と続け、「テーマは脱原発、この一点である」という道筋に、聞き手(有権者)を誘導していく巧みさは健在です。


ワンイシュー戦法では、「伝えるべきことが何か」を突き詰める


「ワンイシュー戦法」は、「ぶれない姿勢で語っている」という力強い印象を聞き手に与えることができ、主張が伝わりやすく、納得を得やすいという効果があります。これは、プレゼンテーションでも使えるスキルです。この戦法を実践するためには、「一番伝えるべきことは何か」を突き詰めていくプロセスが必要です。


NHKのキャスター時代に、「削る美学」という言葉を教わりました。「伝えたいことの7割を言えたら十分。削ったことは行間に生きている」ということです。プレゼンテーションで大切なのは「何を話したか」ではなく、「何が伝わったか」。あれもこれもと多くの事柄を盛り込もうとするのではなく、テーマを一つに絞り込みましょう。


例えば、話し手自身が単に「新商品について」というような、大まかなテーマを持っていては伝わりません。「新商品の何が一番の特徴であり、そのことで購買者の生活がどう変わるのか」など、聞き手にとってのメリットを一点に絞り、簡潔で明快な言葉に落とし込みます。


仮に「一日が25時間になる商品」をテーマにするとしたら、プレゼンテーションの中で徹底して、その言葉を発していきます。「〜ということで、まさに一日が25時間になるのです」「一日が25時間、それがどんな世界か想像ができますか」「もっとも大切なのは自分の時間が増えるということ。一日25時間になればそれが実現できます」のようにキーワードを繰り返し伝えることがポイントです。


効果をさらに高める、「今だけ」「ここだけ」「あなただけ」話法


また、「ワンイシュー」の効果をさらに高めるのは「今だけ、ここだけ、あなただけ」を使った話法です。買い物のとき、これらのフレーズの入ったセールストークに心を動かされた経験があるでしょう。「今、一番注目されているのは」「ここだけはわかっていただきたい」「ここが肝心です」「あなたには、わかっていただけると思います」というふうに用いることで、重要なポイントで聞き手の関心をそらすことなく、共感を得ることができます。


プレゼンテーションは「伝わったことがすべて」。自信と信念を感じさせる「力強い言葉」が聞き手の心を動かします。



(川邊 暁美・話し方講師)

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