グローバル人材育成、英語力より養うべき力

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2014年02月08日 15:10  JIJICO

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JIJICO

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住んでいる街の大小に関係なく、世界中の人と関わる時代が来た


2020年にオリンピックが開催されると、世界中から多くの人が東京を訪れます。数年前に大分県の湯布院に旅行した時、全体の半分ほどは海外からの旅行者でした。夕食時には外国語が響き、入浴の仕方が数か国語で表記されるなど、以前とは温泉町の様子は変わっていました。これは、住んでいる街の大小に関係なく、世界のさまざまな国の人と関わる時代が来たことを意味しています。つまり、「世界の人を相手に活躍できるグローバル人材を育成すること」は、特別なことではなくなってきたということです。


英語力以上に養わなければならない力とは?


グローバルに活躍できる人材を育成するために、最も必要なことは何でしょうか。一番に英語力が取りあげられることが多いですが、それだけでは世界で活躍できるとは限りません。私は、15年にわたって世界中の人と一緒に多文化共生のプログラム運営に関わってきました。現場で様々なことが起こるたびに痛感したのは、「英語力以上に、養わなければならない力がある」ということでした。


それは「自ら考える力」「自分事として問題に取り組む力」「その解決に取り組み続ける力」そして「自分なりの答えを探し出す力」です。このような社会人基礎力を育み、身につけることが、今後、世界で活躍できる人材には不可欠です。「何をどう伝え、どのように共に取り組んでいくか」が、重要になってくるのです。もちろん、語学も大切な要素ですが、語彙力だけでは多様な価値観を持つ世界の人たちと一緒にスムーズに物事を進めることはできません。


多様な価値観を受け入れ、人間の幅を広げることが大切


また、言語や文化、価値観など、あらゆるボーダーを越えて、多様な人たちとつながることができる「柔軟な思考とコミュニケーション能力」、すなわち「違いを認め受け入れることで、自分の人間の幅を広げることができる力」を養うことも大切です。これはスキルとして短期に獲得できる力ではないので、じっくり時間をかけて取り組む必要があります。


最後に「お互いの違いを認め、受け入れる」というのは、国民性を含むそれぞれの個性が尊重される社会になるということです。今まで以上に、個性やアイデンティティーの確立が求められるようになります。英語の習得だけでなく、「自国の文化や習慣を学び、母国語をしっかり習得する」。これらもグローバル人材になるための大きな要素と言えるでしょう。



(上野 久世・人材育成ファシリテーター)

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