遺族年金だけで万が一でも安泰か?

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2014年02月20日 13:10  JIJICO

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今年4月から遺族年金の父子家庭への支給が開始


国の年金制度には、3つの大切な役割があります。高齢者の生活保障(老齢年金)、障害者の生活保障(障害年金)、そして、大黒柱を失った家庭の保障(遺族年金)です。この中で、遺族年金の仕組みが今年4月より改正されることになりました。


これまで小さな子を持つ未亡人については、子どもが高校を卒業するまで国から遺族基礎年金が支給されていました。子どもが一人なら年間約100万円、二人なら年間約120万円と、子どもの人数によって支給額が加算されます。遺族基礎年金は、万が一の時に子どもの養育を助けてもらえる有り難い制度ですが、これまでは受給対象者が母子家庭のみで、いわゆる父子家庭への支給はありませんでした。それでも昨今の共働き世帯の増加等を受け、今年4月からは父子家庭への支給も開始されることになったのです。


遺族厚生年金という上乗せ給付を受け取れるのは原則妻のみ


会社員の男性が亡くなった場合、妻は上記の遺族基礎年金の他に遺族厚生年金という上乗せ給付を一生涯受け取ります。この給付は夫のそれまでの給与額、厚生年金加入期間等によって金額が異なります。ただし、会社員男性が亡くなっても、子どもがいない場合は妻の年齢によって支給される遺族厚生年金の受給期間が変わるなど、少し複雑な仕組みになっています。


また、共働き世帯であっても、遺族厚生年金を受給できるのは原則妻のみで、会社員女性が亡くなっても夫に年金を渡してあげることはできません。夫が遺族厚生年金を受け取れるのは、女性が亡くなった時に夫が55歳以上でかつ受給開始は60歳からと制約があるからです。


国の保障だけでは決して十分と言えず、民間の生命保険が必要に


このように、遺族年金といっても、対象となる人の性別や年齢、そして職業によって国の保障内容に違いが生じます。また、国の保障だけでは決して十分と言えない場合も多いため、民間の生命保険が必要になるのです。


今、保険はネットで保険料を比較して加入するというケースも増えていますが、大切なのは「安い保険に入る」ことではなく「役に立つ保険に入る」ことです。本当に必要な保険を知るには、万が一の時に国の保障がいくらあり、遺族のその後の生活にいくら不足するのかどうかを的確に判断することが必要です。これから保険の新規加入あるいは保険の見直しを検討する場合は、国の遺族保障についてしっかりと理解できるまで十分に説明をしてくれるアドバイザーに相談することをオススメします。



(山中 伸枝・ファイナンシャルプランナー)

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