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先日、損害保険大手の東京海上日動火災保険で、自動車保険の保険金の「不払い」が最大で13万件あったことが発覚しました。そもそも生保業界および損保業界全体に「不払い」問題が広がった2005年、損保各社は、2002年4月から2005年6月の約3年間について、保険金支払いの対象になる事故が起きた契約で不払いがなかったか点検するよう金融庁から指示されました。同社は、その際に今回問題になった、事故でけがをさせた相手への見舞金などを補償する自動車保険の特約(「対人臨時費用」)での不払いは計約1万8千件だったと公表していました。そして、「不払い」件数としては、2003年7月以降に保険金支払い対象事故が起きたものだけで、同社はそれより前のものについては「ほとんどない」と報告していたのです。
しかし、このたび、実際にはもっと多くの不払いがあったことが判明しました。加えて、同社は、2003年6月より前に保険金支払い対象事故が起きたものについては、請求がない分は支払わないことを社内規定で決めていたため、「もともと支払う必要がない」と判断し、「不払い」扱いにはしなかっただけと説明しました。
確かに、もともと実際上、保険契約を拘束する効力のある保険約款では、保険契約において保険事故があった場合、保険契約者側から保険会社に保険金の請求の申し出をせず、請求事由発生日から3年が経過すれば時効となります。つまり、「保険金の支払いは、まず契約者の請求ありき」というのが生保・損保各社のいわば常識だったのです。
ところが、「不払い」問題が広がりを見せた2005年以降、この常識は通用しなくなったと言われます。東京海上日動の説明によると、今回発覚した「不払い」について、「資料の保存期間が9年程度のため、2004年以前の契約関連資料をほとんど消去(破棄)してしまったことから、正確な不払い件数や金額もはっきりしない」ということです。また、同社の説明では、契約者が保険金の支払いを求める際には、対人賠償で保険金が支払われたことを示す通知が必要になるということです。
しかし、このたび「不払い」が明らかとなったのは2002〜2003年と10年以上も期間が経過しており、請求に必要な書類などを保管していない契約者が大半と思われます。損保会社の不適切な情報開示のツケを、結局、契約者が払わされるというのでは、誰がどう見ても納得できる結論とは言えないでしょう。
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