「想像力を育てる」おもちゃって?

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2014年03月04日 09:31  MAMApicks

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「スーパー戦隊シリーズ」の新作が始まった。鉄道がモチーフのヒーローだから、鉄道好きの息子の期待は高まる。私も一緒に視聴。

しかしどうしても、大人心が入り込む。あぁ、この変身グッズでひとつ、この武器でまたひとつ……。つい、おもちゃ化される登場アイテムをカウントし始める。

だいたい今どきのおもちゃはよくできているから、本物のヒーローの方が、おもちゃそのもので変身しているように見えてしまうじゃないか! 合体ロボットシーンも、CMのおもちゃ組み立て解説シーンとオーバーラップして、もう本編とCMの垣根が低すぎる……。

■応用力の低いおもちゃ
こんなふうに、「売りたい」側の大人の事情が透けて見えると、親の心は素直になれない。「まんまと」乗せられ、さっそく欲しがる息子の単純さに、心でこっそりため息をつく。

だいたい、どうせ1年でまた新しいシリーズが始まるのだ。しかも、あなたはこの戦隊グッズ系統のおもちゃに「熱しやすく冷めやすい」。事前にイメージが膨らみすぎて、買ってもらった時点が興味のピーク。で、長続きしない。

使い方が極めて具体的に提示されていたり、単用途なのにやたら複雑な機能が組み込まれていたり、応用力が低めのおもちゃは、飽きるのが早い気がしてちょっと苦手だ。

■「余白」がポイント
やっぱり、遊びの中で、想像力や創造性を伸ばせたらいいなぁとは思うから、親としては応用力のあるおもちゃを選びたくなる。


実際、積み木やブロックは、明らかに色々な使い道があるし、発達に合わせて無理のない範囲の遊び方ができて長く楽しめる。これは、おもちゃが持つ「余白」が大きいからなのだろう。幼児向けのレゴは、息子が2才台から7才の今でも完全に現役主力のおもちゃとして活躍中だ。

いかにも「想像力を育てそう」なものに限らず、商業的なテイストで遊び方をけっこう提示しているおもちゃだって、適度な「余白」があるものは意外と多い。

たとえばプラレールは、設計するおもしろさもはもちろん、あの微妙にリアルすぎない独自フォーマットがいい余白になっている気がするし、リカちゃん人形なんかも、手作りの道具や服を足して遊びを膨らませたくなる、適度な「スキ」のようなものがある気がする。

新型車両が!新しいドレスが!……とコレクション欲に走られる危険とつねに隣り合わせなのがつらいところではあるけれど……。

■「いいもの」を与えればいいのか?
デザインも材質も申し分ない、厳選された趣味のいい木のおもちゃだけが置かれた遊び場に行くと、たしかに気持ちはいい。なんだか「素敵」だし、「子どもにいいことをしている気分」も味わえて大人心は安心する。

でも、だからといって木製玩具至上主義みたいになったり、「いいものを与えなければダメになる」「いいものを与えれば大丈夫」と妙な極論に陥ってしまったら、それもなんだか違う。

「いい」おもちゃを子どもに与えればそれで解決!……なわけはない。

■やっぱり「人」が重要
余白たっぷりのおもちゃを用意したら、それだけで子どもが「自由な」「無垢な」発想で、「クリエイティブに」遊ぶと思ったらそれは幻想だ。

目の前のブロックに幼児がすることといったら、それはもう、口に入れてガチっとかじるだけ。

で、結局最初のところ、ブロック遊びは親がするのだ。ひたすら親が、作る、作る、こわして、また作る……それだけの日々がどれほど続いたことか……! 子どもはとりあえず何の創造性らしきものも発揮しないし、親が作っている姿が視界に入っているだけ。

でも、そういう、親がひたすら作るだけ、見せているだけ、話しかけているだけ、の表向き一方的なコミュニケーションの時間に、必ず子どもの側も言語化、視覚化されないコミュニケーションをしている。

≪……なんだか父や母がやたらと何か作っては話しかけてくる、なんだかよくわからないが、これはなかなか快適な時間で、とりあえずぼくもふたつのパーツをくっつける試みをしたら、やたらと父や母がはしゃぐじゃないか、ふふ……≫

そういう時間を経て、ようやく回路がつながり始めて、子ども自身が何か「それらしきもの」を作るようになるのだろう。

「教える」のではなくて、例示するだけ。ヒントになりそうなことを遊びに包み込んでひたすらばらまく。教えようとした途端に子どもはすーっと興味を失うけれど、親が熱中して楽しそうにやっていることには、子どもは自然と興味をもつ。

子ども+ブロックで、勝手に発想や創造性が育つわけはなくて、そこには絶対周りの「人」との関わりが必要。そして、そういう土台は「人」にしか作れない。

■時々思い直すくらいで
だから、発想や創造性を育てるっていうのは、結局、おもちゃが何であるかという「モノ」に依存しているんじゃなくて、「人」に依存しているのだろう。

……と、思っていたって、つねにそこを強く意識して模範的に過ごせるかと言ったら、それはやっぱり無理だ。子どもとべったり離れることなく毎日を過ごすしている時期は、30分がっちり遊びに付き合うだけでもしんどかったりもする。

でも、どこか、絶対に「人」が手を抜いちゃいけないポイントが遊びの中にある。それは時々きゅっと思い出してみようかと思う。


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まぁ、戦隊モノのおもちゃが飽きやすいったって、それも遊び方の工夫次第、「人」次第なんだよなぁ……と思い直していたら、
「トッキュウジャーのプラレールが出るんじゃないかなぁ」
と息子が言った。

いや、それっ、おもちゃメーカーがこっちとあっち、違うからっ、絶対に発売されないぞ!

やっぱり大人の事情で満たされているんだよなぁ……。またなんだか嫌になってきたじゃないか。

狩野さやか
ウェブデザイナー、イラストレーター。企業や個人のサイト制作を幅広く手がける。子育てがきっかけで、子どもの発達や技能の獲得について強い興味を持ち、活動の場を広げつつある。2006年生まれの息子と夫の3人家族で東京に暮らす。リトミック研究センター認定指導者。

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