インターネット上の仮想通貨「ビットコイン」の取引サイトを運営する会社が、民事再生法の適用を申請して経営破たんしたとニュースで報じられました。通常の通貨の場合、財政危機などで国家の信用が落ちれば、その価値も下がってしまうものですが、ヨーロッパの経済危機を背景に国家の枠組みにとらわれない世界共通の通貨をインターネット上に作ることを目的に、あるプログラマーによって考案されたのがビットコインなのです。銀行を通さないため手間もかからず、また、低い手数料でネット通販の決済や国際送金に使うことができるといったメリットがあることから、その利用は世界に広がりを見せていました。
ビットコインを利用するためには、手持ちの通貨をインターネット上の取引所で両替してもらい、ビットコインを入手しなければなりませんが、取引そのものは匿名で行われる仕組みになっておりますので、マネーローンダリングなどの闇取引に利用されるとの懸念もあるところです。また、円と同じように相場があり、投機的な金融商品といった性質も備えておりますので、高騰することもあれば暴落することもあります。
しかしながら、ビットコインは発行主体も管理者もおらず、利用したい人たちの間で価値のあるものとして広がったものに過ぎませんから、その価値について政府や中央銀行の裏付けないし保証などといったものは一切ありません。
そうだとすると、ビットコインに不測の事態が起こったとしても、今のところ「ビットコイン預金者を救済する法律」はなく、その意味では、手を出した者の自己責任として扱われるということになります。
ビットコインの取引サイトを運営する会社が民事再生法の適用を申請しましたが、この会社が経営破たんしたといっても、世界で利用が広がっていたビットコインが直ちに使えなくなってしまったということではありません。あくまでも、このサイトの運営会社が経営破たんし、同社が管理していたビットコインが使用できなくなってしまったということです。しかしながら、ビットコインの抱える問題が、ここで顕在化したと言うことはできるでしょう。
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ビットコインがインターネット上でのみ利用されるということは、それ自体が電子情報に過ぎないということになりますので、不正アクセスやサイバー攻撃に晒されやすいといった脆さがあることを認識しておくべきでしょう。もちろん、投機的な金融商品の側面があるため、価値が暴落するリスクがあることも十分に認識しておく必要があることは言うまでもありません。
便利さを追及すると、一方で思わぬ落とし穴もあるのだということを改めて考えさせられる問題といえるでしょう。
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