2月27日、スターバックスコーヒージャパン株式会社(以下、スターバックス)が、現在800名いる契約社員を正社員化すると発表しました。企業の知名度、正社員化の規模などから、このニュースを知り、昨年8月に発表された全日本空輸株式会社(以下、全日空)の客室乗務員制度の正社員化のニュースを思い出した人も多いかもしれません。
この2社は、航空業界と飲食業界という異なる業界ではありますが、共に正社員化を図る方策を進める決定をした背景には、共通の狙いがあると思われます。
従来より、航空会社が客室乗務員への訓練に対してコストをかけていることは知られておりますが、スターバックスもCEOのハワードシュルツ氏の方針により、飲食業界では異例とも言われる手厚い社員教育が行われております。
確かに正社員化による人件費の増加は生じますが、社員の定着化を図ることで、退職する社員へかけたコストのロス、また、新入社員にかける教育コストの発生を防ぐことができ、教育を受けた社員の会社への貢献などによる企業体質の強化によるメリットを選択したのだと思われます。
現在、飲食業界において、特に都心部での人材確保競争が激しくなっています。また、全日空についても、ライバル会社である日本航空株式会社(LAN)が業績回復により、人員確保を積極的に行っており、客室乗務員希望者の奪い合いが起きております。
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もちろん前述どおり社員教育を行いますが、その前提として優秀な人員を集める必要があり、一定規模以上の応募者を確保するため、社員の待遇改善を図ることで募集意欲を図る目的があるのでしょう。
航空業界、飲食業界ともコスト競争が激しい業界ではありますが、近年、格安航空会社(LCC)の運航開始、コンビニコーヒーの大ヒットなど低価格商品が市場で活況を呈しています。これに対抗するため、コストを抑え、低価格で勝負するのではなく、サービス内容を重視する顧客をターゲットとして、業績を伸ばしていく方針であると思われます。顧客の満足感を高めるためには、顧客の想定を超える一歩先に進んだサービスを提供することが求められます。そのためには、高いホスピタリティ意識を持ち、時にはマニュアルには記載されていないサービスを行うことも必要です。
この2社は、優秀な人材を確保し、他が模倣できないサービスを提供することで、業界における差別化を図るのが最終目的なのでしょう。
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