「消費税が8%になるから家賃を上げます」 賃貸住宅の大家に請求されたら断れない?

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2014年03月16日 19:20  弁護士ドットコム

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今年4月から、5%から8%へと税率が上がる「消費税」。増税前に大きな買い物をしてしまおうと、マンションや土地などの不動産購入の駆け込み需要が増えているという。では、賃貸マンションやアパートなど、月々の家賃を支払う「賃貸不動産」の場合はどうなのだろう。


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たとえば、大学生が一人暮らしの住居として借りているアパートの大家さんから「消費税の増税に合わせて、4月から家賃も上げるから」と言われた場合、借主は「消費税が上がった分も払わないといけないよな」と納得しないといけないのだろうか。個人が借りる賃貸物件と消費税の関係はどうなっているのか。税理士の浅田剛男氏に聞いた。



●「住宅の貸付け」には消費税がかからない


「事務所や店舗等の家賃と違って、賃貸住宅の家賃については、消費税は非課税とされています。したがって、『家賃にも消費税がかかるから、増税分だけ家賃を上げます』と大家が言ったとしたら、その言い分に従う必要はありません」



このように浅田氏は述べる。消費税に関して、「住宅の貸付け」は原則として非課税とされているためだ。



「ただし、消費税が5%から8%に上がったために、不動産の経費も余計にかかることになり、その上昇分を補てんするために、家賃を値上げするという理屈はないわけではありません。



そのような経費の補てんのために家賃を値上げするということであれば、大家は、借地借家法の規定により、家賃の増額を請求できます。つまり、租税その他の負担により、近隣の同種の建物の家賃と比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、家賃を増額することを請求できるのです」



このような場合は、賃貸契約書に賃料値上げについての取り決めがなくても、家賃の値上げを請求できるのだという。



●消費増税の経費への影響をどう見積るか?


「でも、大家の請求に対して、借主が同意するかどうかは別の問題です」



浅田氏はこう説明する。借主の立場からすると、「消費税アップで経費が増えた」と言われても、ピンとこないかもしれない。



「実際には、固定資産税と違って、消費税の増税によって経費負担がどれだけ増えたかは、恣意性が多分にあるといえます。賃借人にとって、簡単に同意できる問題ではないでしょう。また、不動産の値上げで納得がいかず争点があるときは法律論になりますので、法律の専門家に確認したほうかよろしいかと思います」



どちらにしても、大家が「消費税アップで経費負担が増えた」ということを理由に家賃の増額を求めてきたら、実際にどういう経費が増えたのか、具体的な数字を示してもらうのが賢明といえそうだ。



【取材協力税理士】


浅田 剛男(あさだ・たけお)


一般法人や個人事業の会計・税務だけでなく、公益財団・社団法人や社会福祉法人、一般財団・社団法人、NPO法人その他の金融知識に精通している。幅広い会計・税務その他の周辺知識を駆使して、サービスを提供している。


事務所名 :浅田会計事務所


事務所URL:http://www.asadakaikei.com/



(弁護士ドットコム トピックス)



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