お金の量、過去最大。暮らしへの影響

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2014年03月17日 15:00  JIJICO

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資金供給残高は過去最大に。今年末には270兆円を目指す


アベノミクスがうたわれて以降、1万円札をはじめとして手の切れそうな新札が財布に入ることが多くなってきたと感じる人は少なくないはずです。この現象、実は通貨供給量の増加によるものなのです。本年2月末時点で前年同月比55.9%増の204兆7525億円となっており、過去最大の資金供給残高を更新しています。今年末には270兆円の資金供給残高を目指しており、今のところ順調に増えてきていると日銀は発表しています。


影響の第一は「インフレ」。「失われた20年」で貨幣価値は上昇


この通貨供給量の増加が暮らしに与える影響の第一は、インフレです。国内に流通する通貨量が増えることによりお金の価値が下がり、結果として物価が上昇すると期待されます。実際に、円安による輸入物価の高騰や、消費税駆け込み需要での建設関連消費財の高騰、人件費の高騰などにより、モノの値段が上がり始めています。消費税の駆け込み需要による反動減の幅が小さければ、緩やかな物価上昇が続くことになります。


日本は「失われた20年」ともいわれる暗黒の経済の時代が続きました。この暗黒の時代では、将来への不安から、国民がモノを買わなくなり、物価がどんどん下がっていくデフレ状態が続きました。400円だった牛丼が、この20年間で250円にまで値下がりをした例をとっても、モノの値段が下がった20年ともいえます。預金金利がどんなに低くなろうとも、モノの値段が下がるわけですから、タンス預金をしていても、お金の価値はどんどん上がっていったのです。使わなければお金の価値が上がるとわかれば、急いでモノを買おうという人は少なくなって当然でしょう。


資金供給残高増加の効果を高めるには「使うこと」


さて、今回の通貨供給残高の増加で注目すべきは、そのお金が何に使われるのかということです。せっかくお札を大増刷しても、それが市中銀行から日銀に預金されてしまったのでは効果は半減してしまいます。大切なのは、使うことです。日本人にはアメリカ人のように財産の運用を株式に比重を置くことはありませんが、さまざまな運用を図って余裕資金を作り、それを消費に回すことが結果として自分の生活にゆとりを生んでくれます。


「風が吹けば桶屋が儲かる」ではありませんが、資金供給量の増加によって私たちの暮らしより良いものになることを期待したいところです。



(山根 敏秀・税理士)

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