「特許法等の一部を改正する法律案」が国会に提出されます。ここで特許法「等」と言っているのは、特許法のほか、商標法、意匠法、実用新案法等、知的財産に関する法律を一括して改正するからです。
改正の基本的なテーマは、大きく言って3点。「�｜療�財産立国を目指して出願から特許になるまでの期間を短縮すること」「�△修里燭瓩貌探�庁審査官以外のリソースの活用を図ること」「�９餾歸�な制度との調和を図る」ことです。
特許権利化までの期間を半分以下の14か月に短縮
現在、出願から特許権利化までの平均的な期間は30か月です。これを、今後10年間で半分以下の14か月にしようというのが「�｜療�財産立国を目指して出願から特許になるまでの期間を短縮すること」のポイント。
「14か月でも長すぎないか」と思われるかもしれませんが、日本の特許の審査官は1700人。これで年間35万件以上の出願を処理しています。米国は年間約50万件ですが、審査官は7800人。中国では、審査官数を約1万2000人にするようです。今回、審査官の具体的増員計画はないので、審査の品質維持と迅速化は今後の課題となるでしょう。
特許の見直しを迫れる異議申立て制度が復活
「��特許庁審査官以外のリソースの活用を図ること」としては、「特許異議の申立て制度」と「外部有識者による審査品質のレビュー制度」が新たに設けられます。実は「特許異議の申立て制度」は全くの新設ではなく復活です。これは本来、特許すべきでないものが審査の過誤で通ってしまったときに、それを公衆の異議申し立てで是正しようという制度です。しかし、特許を無効にする無効審判制度が別にあり、重複するとして約10年前に廃止されてしまいました。ただ、無効審判は請求する側からするとかなりエネルギーを要する制度のため、比較的簡便に特許の見直しを迫れる異議申立て制度が復活となったようです。
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色彩や音などの商標を日本でも保護対象に
「�９餾歸�な制度との調和を図る」としては、外国で保護対象とされている色彩や音などの商標を、日本でも保護対象に追加する商標法の改正と、複数国に対する一括出願の規定を整備する意匠法の改正があります。世間的には、この色彩商標や音響商標はかなり興味深いもので、文字通り、色彩や音響を商標として扱うものです。現在でも文字や図形の色として、色彩は商標を構成する要素ですが、色彩商標では色そのものが商標になるわけです。これは外国では商標として制度化されていて、例えば、色彩商標では、宝飾店の「ティファニーブルー」が米国で登録されています。音響商標は、半導体メーカーのインテルのサウンドロゴのほか、日本の久光製薬の「ヒ・サ・ミ・ツ」というサウンドロゴが欧州で音響商標として登録されています。
（小澤 信彦・弁理士）
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